最新記事

移民

「ダディ、これどうするの?」──不法移民の親子引き離し停止、イヴァンカやクルーニー夫妻が与えた圧力とは

2018年6月21日(木)19時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

不法入国者を訴追して収監すること自体は変わらない Yuri Gripas-REUTERS

<妻や愛娘からも詰められたトランプ。大統領令は出したけど、現在少なくとも2342人いる収容中の子供たちをどうやって親元に戻すかは決まっていない>

6月20日、アメリカに不法入国した親子を引き離して拘束する措置を中止し、今後は一緒に収容すると方針転換したドナルド・トランプ米大統領。昨年の10月から徐々に始まっていた親子の隔離だったが、今年の5月頃に突如として正式な書類を持たずに入国した大人を全員刑事訴追する「ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)」政策を加速させていた。

ザ・スター誌によると、大統領令に署名したトランプは「家族を一緒にするための措置」と説明し、国内外からの批判に対応した格好だが、すでに離れた家族はどうなるのかなど、具体的な対応は明らかになっていない。

今後の課題は多いが、トランプがゼロ・トレランスを一部緩和したことを多くのメディアが報じている。アメリカで連日トップニュース扱いだったこの話題。諸外国や著名人、さらにはトランプの身内からさえも異例とも言える発言が出るなど、多くのバッシングを受けていた。

クルーニー夫妻

20日に不法移民の子供の権利保護に取り組む団体に寄付を表明したことが明らかになった、俳優ジョージ・クルーニーと人権派弁護士のアマル・クルーニー夫妻。2人の間には昨年双子が誕生しており、子供を持つ親の立場からゼロ・トレランス政策を批判している。

「将来自分たちの子供に『自分の国(アメリカ)が親と子を引き離して収容所に入れたって本当なの?』と聞かれたら、答えは『イエス』。子供たちからは何もしなかったのかと聞かれるだろう」と、夫妻はピープル誌に語った。

夫妻は「私たちはトランプ政権の方針を変えることはできないけれど、犠牲者を守ることはできる」と考えており、2016年に設立した「正義のためのクルーニー基金」を通じ、不法移民の児童の権利保護活動に取り組む団体に10万ドル(約1100万円)を寄付すると表明した。

ローラ・ブッシュ

元ファーストレディのローラ・ブッシュはワシントン・ポストに寄稿したなかで、ゼロ・トレランス政策は「残酷で非人道的」と指摘。さらに、移民が押し込められている施設について、第二次大戦下で日系アメリカ人が強制収容されていたものを連想させると、批判する立場を明確にした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中