最新記事

磁石でワインの味が大幅改善!? 気になるテイスティングの結果は

2018年6月20日(水)17時35分
松丸さとみ

Boris_Kuznets-iStokc

「ピーマン臭」の原因物質を除去

赤ワインのカベルネ・ソーヴィニヨンに含まれる、ワインの味を落とすとされる物質を取り去るのに、磁石が有効だということが、このほど明らかになった。

ワインにはさまざまな物質が含まれており、これがワイン特有の味や香りになっている。適量であれば「良い香り」となるが、多すぎると「不快なにおい」、「雑味」となってしまう。

カベルネ・ソーヴィニヨンには、アルキルメトキシピラジン(MP)と呼ばれる物質が含まれている。植物系の香りのもととされるが、この含有量が高くなると、フルーツ系やフローラル系の香りを邪魔してしまい、ワインの味を「葉っぱっぽい」とか「ピーマン臭い」と感じるものになる。

このMPは、早いタミングで収穫されたぶどうや、寒い天候のもとに育てられたぶどうで作ったワインに多くみられるという。またテントウムシによる被害(テントウムシ汚染などと呼ばれている)を受けた場合も、MPが多くなる。

しかしオーストラリアのアデレード大学のデイビッド・ジェフリー准教授率いるチームは、もともとのワインの風味を損なうことなしに、この物資を取り去る新しい方法を見つけ出した。科学雑誌ジャーナル・オブ・アグリカルチュアル・アンド・フード・ケミストリーに発表された実験結果を、英紙ザ・タイムズや科学系ニュースサイトのサイエンス・デイリーなどが報じている。

分析値もテイスティングも結果は良好

研究チームは、南オーストラリアのバロッサ・バレーで収穫されたぶどうカベルネ・ソーヴィニヨンを大量に購入してワインを作った。その際、ぶどうを潰した後にMPの一種である3-イソブチル-2-メトキシピラジン(IBMP)を加え、さらに磁気ナノ粒子をポリマーに付着させた磁性ポリマーもそこに入れた。

従来的には、MPを除去する方法として活性炭やベントナイト、プラスチック・フィルムなどを使うのだが、研究者たちは、IBMPが磁気と結合し、除去できるのではないかと考えたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中