最新記事

米外交

イラン核協議を妨害する共和党議員は裏切り者か愛国者か

オバマの核交渉の進展を阻む共和党の「裏切り」行為は許されるのか

2015年3月11日(水)15時45分
デニス・リンチ

強硬手段 イランに書簡を送ったマコネル院内総務(右から2人目)ら47人の共和党議員 Jonathan Ernst-Reuters

 イラン指導部宛ての公開書簡に署名した47人の米共和党上院議員は裏切り者なのか? 賛否をめぐって議論が巻き起こっている。

 イランとアメリカ、ロシアなど6カ国との間で続く、イラン核問題をめぐる協議は、今月末に交渉期限を迎える。イラン指導部あてに送られた書簡は、オバマ政権と何らかの合意に達したとしても徒労に終わるかもしれない、と警告するもの。

 イラン核協議では、イラン政府に核兵器の開発を放棄させる一方、エネルギー利用のための平和的な核開発は認める妥協策を模索している。だが共和党強硬派は、それでは弱腰過ぎるとオバマやケリー国務長官に対する苛立ちを募らせてきた。

 そこで書簡は、オバマがどんなを約束しようと米議会が認めなければ行政上の合意に過ぎず、通常の大統領令と同じく次期大統領が反故にできる、とイラン側に知らせる内容になっている。オバマ政権側は、この書簡は繊細な国家間交渉を頓挫させかねないものだと非難している。

 議論はツイッター上でもヒートアップ。オバマ政権支持者が「#47Traitors(47人の裏切り者)」のハッシュタグで共和党議員への怒りを爆発させると、共和党議員の支持者は「#47Patriot」(47人の愛国者)のハッシュタグで反撃、オバマ政権支持者が「書簡を送った議員は全員、議会から追放すべきだ」と言えば、共和党議員支持者は「彼らは独裁者オバマを止める愛国者だ」と言い返す。

 この書簡は、米政府の対外交渉に影響を与える目的で外国勢力と接触することを禁止する約200年前に成立した法律に違反するという指摘がある。この法律に基づいて訴追されたのは、かつてフランスと結託して西部州の分割を要求したケンタッキーの農夫だけで、有罪にもなっていない。

 アメリカン大学のスティーブ・ブラデック教授(法学)がアップしたブログによると、書簡を送った共和党議員が実際に訴追される可能性はほとんどなさそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBはAI導入に伴う構造的な失業率上昇を相殺でき

ワールド

中国軍の汚職粛清、指揮系統・即応態勢に打撃=英国際

ワールド

トランプ氏「加齢で不安定化」、米世論調査で6割 共

ワールド

ウクライナ紛争、西側の介入で広範な対立に=ロシア大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中