最新記事

核施設

アメリカ「最も汚い核施設」の実態

兵器用プルトニウムを長年製造していたワシントン州のハンフォード核施設で汚染水漏れが発覚

2013年3月11日(月)16時03分
デービッド・トリフノフ

  

 悪夢だ。今年2月、米ワシントン州にある「アメリカで最も汚染された核施設」で放射性廃液が漏れ出していると、同州のジェイ・インズリー知事が発表した。

 汚染水漏れが確認されたのは、同州南東部のハンフォード核施設で放射性廃液を貯蔵している地下タンク。流出している汚染水は年間に約570〜1140リットル相当だと、知事は説明した。当局によれば、現時点で同州東部での放射線量の変化は確認されていない。

 問題になっているのは、この施設にある177基の地下タンクの1つで、1940年代に造られた一重殻タンク(貯槽が1枚の鋼板でできている)だ。「当該の汚染水漏れだけでなく......同じ時期に造られたほかの一重殻タンクの安全性にも懸念が出てきた」と、インズリー知事は指摘。連邦政府に対して、恒久的な対策を求めている。

 ハンフォードの施設は、第二次大戦期から冷戦期にかけて兵器用プルトニウムの製造工場として稼働(長崎に投下された原爆のプルトニウムもここで製造された)。冷戦終結後は施設の解体と除染が進められてきたが、ずさんな管理が常々指摘されていた。

From GlobalPost.com特約

[2013年2月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米軍が「麻薬密売船」攻撃、太平洋側で初 2人死亡=

ビジネス

NY外為市場=英ポンド下落、ドルは対円で小幅安

ビジネス

テスラ、四半期売上高が過去最高 税控除終了前の駆け

ワールド

「貿易システムが崩壊危機」と国連事務総長、途上国へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    やっぱり王様になりたい!ホワイトハウスの一部を破…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中