最新記事

米大統領選

ロムニーの相棒は「寄生虫30%」説?

大統領候補の討論会の直前に、ロムニーの副大統領候補ライアンの失言が発覚

2012年10月4日(木)17時08分

似た者同士 中間層にそっぽを向かれたロムニー(右)とライアン Brian Snyder-Reuters

 米共和党の大統領候補ミット・ロムニーが「米国民の47%が連邦所得税を払っておらず、政府に依存するのを当然だと思っている」と語ったことが暴露されたのは9月半ばのこと。非公式な場での発言だったが、国民の半数を「寄生虫」扱いする態度に、世論は猛反発した。

 瀬戸際のロムニー陣営に追い打ちをかけるように、今度はロムニーの相棒であるポール・ライアン副大統領候補の「30%発言」がスクープされた。この発言を見る限り、少なくともホワイトハウスを一緒にめざす2人の息が合っているのは確かなようだ。

 問題の発言は、保守系月刊誌「アメリカン・スペクテーター」が主催した昨年11月のディナーパーティーで、ライアンが基調講演をした際のもの。ロムニーの「47%」発言の半年前だ。

 米ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」が発掘したビデオ映像の中でライアンは、3分の1近い米国民が生活を向上させる意欲をもっていない、と批判した。

「どの世論調査でも、アメリカはまだ7対3の割合で『中道右派』の国だという結果が出ている。これはいいニュースだ。70%の国民はアメリカンドリームを求め、アメリカ的信念を持っている。(だが残りの)30%は福祉国家を望んでいる。アメリカは近い将来、国民の過半数が生産者でなく受給者である社会になってしまう」

大きな政府を批判しただけ?

 ライアン陣営の広報担当ブレンダン・バックはハフィントン・ポストの取材に対し、次のように釈明している。「選挙運動中の他の演説と同じく、すべての国民に成功のチャンスがあるというメッセージを語っただけだ。政府の大きさに関する主張であり、それ以上の意味はない」

 それでもライアンの言葉は、ロムニーの「47%発言」と同じく一部の国民を寄生虫扱いしているように聞こえる。ロムニーは「何があってもオバマに投票する47%の国民がいる」と発言。「オバマを支持し、政府に依存し、自分たちを犠牲者だと信じ、自分たちを世話する責任が政府にあると信じている人々。医療や食事、住居を支給してもらうのが当たり前と信じている人々だ」

 相次いで暴露された2つの発言によって、ロムニーとライアンのコンビは中間層にそっぽを向かれてしまった。CNNによれば、オバマとロムニーのどちらが中間層を助けられるかという質問で、ロムニーはオバマに大きな差を付けられている。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NEC、通期業績予想を上方修正 国内IT好調で

ビジネス

米財務長官の発信にコメント控える、日銀会合も踏まえ

ワールド

アングル:米国株、人気は株主還元よりAI技術革新投

ワールド

習国家主席がトランプ米大統領と釜山で30日会談、中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 4
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 5
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 6
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    「何これ?...」家の天井から生えてきた「奇妙な塊」…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中