最新記事

追悼

アメリカが愛した「最後のケネディ」

ケネディ元大統領の末弟で民主党の重鎮だったエドワード・ケネディが遺したもの

2009年8月27日(木)16時55分
ダニエル・ストーン

神話を生きる 一族の罪と贖罪、勝利と悲劇を背負い続けたケネディ Jason Reed-Reuters

 8月26日早朝、マサチューセッツ州選出のエドワード・ケネディ上院議員が前夜に亡くなったというニュースが飛び込んできた。享年77歳。脳腫瘍を患い、1年前から闘病を続けていた。

 ケネディは、兄のジョン・F・ケネディが大統領に就任した翌年の1962年、30歳の若さで上院議員に初当選した。彼がワシントン随一の有力政治家として抜群の存在感を発揮したのは、在職期間の長さのためだけではない。医療や移民、教育問題の政策決定において、ケネディは見事な仲介役を果たしてきた。

 ニューズウィークにも頻繁に登場し、表紙を飾ったことも10回近くある。最近も、7月27日号(アメリカ国内版)に医療保険改革への戦いを振り返るエッセイを寄稿して表紙に登場したばかりだった。

 ケネディの訃報を受け、ニューズウィーク編集部は彼の足跡を振り返る写真を集め、臨時増刊号を出すことに決めた(日本版では9月2日発売の9月9日号に特集を掲載予定)。

 その中で本誌記者のエバン・トーマスは、アメリカ史上最も影響力のある「王朝」の末弟として生まれたケネディの生涯を彩り豊かに振り返る。「ある意味では、彼の物語はケネディ神話の信者になじみのあるものだった。罪と贖罪、勝利と悲劇の物語だ」

「だが良質のヒューマンストーリーが必ずそうであるように、彼の物語も簡単に陳腐な決まり文句に要約できるようなものではない。ケネディの物語はとりわけ複雑で魅惑的だ。そして、それは個人的な謎から始まる。富と特権を約束され、偉大であることを運命づけられた一族に生まれた人間が、なぜ平凡な人間になりたいと望むようになったのかという謎だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中