最新記事
考古学

中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先史時代の支配者の実像とは?

2025年3月13日(木)17時10分
ショーン・デューク(科学担当)
河南省で発見された君主のものとみられる墓からは大量の副葬品も XINHUA/AFLO

河南省で発見された君主のものとみられる墓からは大量の副葬品も XINHUA/AFLO

<約5000年前の支配者の墓が、中国・河南省で発見された。副葬品には200点以上の陶器やヒスイの装飾品が含まれ、墓の規模は先史時代として最大級。この発見は、中国文明の初期国家形成を考える上で重要な手がかりとなりそうだ>

中国中部で約5000年前の初期の君主のものとみられる墓が発見された。河南省永城市の王荘遺跡で見つかった墓は、考古学者によれば先史時代の古代国家の君主のものらしく、これまでに350点以上の遺物が出土している。

「新たに発見された墓は河南省西部の複合社会(未開社会より社会階級・階層化が進んだ社会)の支配者のものかもしれない」と中国社会科学院考古学研究所の李新偉(リー・シンウェイ)教授は本誌に語った。


「中国考古学では約5000年前の初期の複合社会を古代国家と呼ぶ。今回見つかった墓はこの時代としては最大級で、200点以上の祝宴用陶器やヒスイの装飾品など副葬品も多数見つかっている」

首都師範大学(北京)の朱光華(チュー・コアンホア)副教授によれば「陶器には東部、南部、西部の要素が見受けられ、他の複合社会との盛んな交流がうかがえる」と言う。

新華社通信によれば、朱は墓の重要性を力説している。「今回の新発見は王荘遺跡が通常の集落ではなく、先史時代の王国の首都だったことを示している」

墓は長さ4.52~4.8メートル、幅3.47~3.68メートルで、墓室には棺(ひつぎ)と椁(かく、外棺)があった。100点を超える陶器、200点近いヒスイの小型装飾品、骨器や富の象徴である豚の下顎骨(かがくこつ)など動物の骨なども見つかっている。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド、銀行株売り 消費財に買い集まる=ゴ

ワールド

訂正-スペインで猛暑による死者1180人、昨年の1

ワールド

米金利1%以下に引き下げるべき、トランプ氏 ほぼ連

ワールド

トランプ氏、通商交渉に前向き姿勢 「 EU当局者が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中