「AIは電力を食う」グーグル元CEOが語る解決策...日本の原発に託された期待

2024年12月24日(火)14時00分
エリック・シュミット(グーグル元CEO)

日本の原発の電力にも期待

一方でアメリカは、外国のエネルギー源に目を向ける必要もある。ただしこれにはまた別の難しさがある。中東のエネルギーは安価で安定しているが、それに依存するのは地政学的、安全保障上のリスクがある。安価なエネルギーを当てにして外国にデータセンターを作っても、敵の情報機関による情報漏洩が起きたり、アメリカに圧力をかける手段として利用されたり、プライバシーを侵害するような形で使われてしまっては意味がない。

AI技術は非常に価値があり、アメリカの安全保障にとって重要な意味を持つ。だから手を組む相手はアメリカと利害と価値観を共有する国でなければならないし、AIシステムを防衛する高い能力を備えていなければならない。こうしたリスクに対応するには、ペルシャ湾岸の同盟諸国との間の慎重な外交と、技術的な関与が必要になるだろう。


欧州諸国と協力を深めるほうが安保上の懸念は少ないが、問題は国際的に見ても高いエネルギー価格だ。例えば、23年の欧州諸国の電力料金はアメリカの約2倍。おかげで欧州系のAIモデルのほとんどは、アメリカを含むEU域外で開発が行われている。

同盟諸国の中には、現実味のある解決策を提供してくれそうな国もある。日本では、現在使われていない原子力発電所の発電余力が合わせて20ギガワット以上ある。カナダでも水力発電による豊富な電力が使えそうだ。

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