最新記事

未来予測

世界を変えるテクノロジー、「台風の制御」実現は遠い未来ではない【未来予報図02】

2022年3月9日(水)12時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

理由は次のとおり。台風は、暖かい海水が蒸発することで上昇気流が生じ、中心部分の気圧が低くなり勢力が強まる。台風の目の中心に氷をまくと、温かい空気が冷やされ、気圧の低下をわずかに抑え、勢力を落とすことができるのだ。

そして、このように台風を制御し勢力を落とすことで風速を3m/s減少させることができ、この風速3m/sの減少だけでも、建物被害は30%ほど抑えられる。金額にして1800億円もの経済損失を軽減できるという。

また、この制御された台風で発電も可能。開発した無人の台風発電船をヨットのように台風の風で前進させ、船体後部に取り付けられたスクリューを船の前進によって回転させることで発電する。

ビジネスの未来予報:台風が脅威でなくなる未来

台風を制御する事業は、公共性が高いため、気象庁などの公的機関がおこなうことが予想される。

●政府事業
政府の気象庁などの機関が、台風の制御を担当するだろう。どれくらいの勢力なのか、どれくらいの被害が出てしまうのかを正確に予測し、それを軽減させる最善策を立てる。また、この台風制御ノウハウを海外へ輸出することも考えられる。

●発電、売電事業
台風発電船により、発電した電気を蓄電、また売電し、収入を得る。

テレビなどの天気予報やニュースの台風情報も、従来の上陸情報、注意報、警報などから、台風消滅成功、勢力軽減などの新しい報道スタイルに変わったり、従来にはなかった気象用語などが作られたりすることも十分に考えられるだろう。

今後、ある勢力以上の台風は日本に上陸しないと仮定すると、河川、山間部、あらゆる建築物の設計・建築基準なども緩和されるかもしれない。

日本のムーンショット型研究開発として2021年時点から台風を制御する研究はおこなわれており、徐々に人々の台風に対する意識は変わっていくことだろう。そして、2050年には、台風は完全に制御され、人々に対する「脅威」から「恵み」へと変わるはずだ。

futurebook20220309-2-chart.png

『ビジネスモデルの未来予報図51』197ページより

ビジネスモデルの未来予報図51
 齊田興哉 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、英軍施設への反撃警告 ウクライナ支援巡る英

ワールド

中国主席に「均衡の取れた貿易」要求、仏大統領と欧州

ワールド

独、駐ロ大使を一時帰国 ロシアによるサイバー攻撃疑

ワールド

ブラジル南部豪雨、80人超死亡・100人超不明 避
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中