最新記事

AI vs. 癌

がん治療により効果的で安全な薬を開発する、特許取得済みAIシステム

2019年10月16日(水)11時05分
ノア・ミラー

――具体的なプロセスは?

例えば、小児癌の研究で実験に実験を重ねて、Xというタンパク質の働きを阻害できれば癌の進行を止められるという結論に至ったとする。急速に分裂を繰り返す細胞を全て殺すより、健康な細胞を傷つけずに癌を捕まえたい。そのために有効かつ安全な薬が必要になる。

ここでAIを使えば、従来の実験の2000倍の数の分子を検証できる。いくつかの組み合わせが(治療法の開発にとって)極めて有望だと分かったら、それらの分子を改良する。ここでもコンピューターを使えば一度に数十億の分子を判定でき、数十や数百の場合より「宝くじの当たり」を引きやすくなる。

先日発表した「10の10乗プロジェクト」では、小児癌治療の突破口を探すために100億個の分子のスクリーニング検査をAIで行っている。

――あなたにとって「成功」とは何か。

この分野の全ての人にとって、成功とは患者を助けることだ。アトムワイズは先日、米イーライリリー社と5億㌦以上の契約を結んだ。製薬業界を代表する大手企業が、AIによるアプローチを歓迎している。

――製薬業界の20年後について。

私たちは既に、過去最大規模のAIによる新薬開発システムを動かしている。1つの治療領域につき200以上のプロジェクトがあり、その約35%が癌関連だ。私たちの成功は、究極的には患者の成功だ。

<本誌2019年10月22日号「AI vs. 癌」特集より>

【参考記事】がん患者の42%が診断から2年で資産を使い果たす:米統計

20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

維新、連立視野に自民と政策協議へ まとまれば高市氏

ワールド

ゼレンスキー氏、オデーサの新市長任命 前市長は国籍

ワールド

ミャンマー総選挙、全国一律実施は困難=軍政トップ

ビジネス

ispace、公募新株式の発行価格468円
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中