最新記事
SDGs

「多世代・多主体」が織りなす地方創生モデル──「沿線まるごとホテル」プロジェクトの現場・奥多摩を訪ねて

2025年12月5日(金)12時00分
岩辺智博(本誌記者)

newsweekjp20251126032538.jpg

集落に溶け込むSatologueの前で会田さんの説明を受ける参加者一行

宿泊棟より一足先にオープンしたレストラン「時帰路(TOKIRO)」は、Satologue自慢の空間だ。林業で栄えた町であることを感じさせる木を活かした内装で、大きな窓から多摩川の清流を望むことができる。

改修直後にSatologueを訪れた奥多摩町長は、この場所から見た多摩川について「自分が何十年も見てきた景色と全く違うように思える。ここから見る景色はまるで外国のようだ」と語って驚いていたという。

newsweekjp20251126120140.jpg

レストラン「時帰路(TOKIRO)」は奥多摩自慢の木材で仕上げられた空間だ

多世代・多主体の尽力がカタチに

かつて養魚場だったという庭は地域住民や移住してきた若手シェフ・スタッフの手によって、わさび田や畑、ビオトープへと生まれ変わった。多世代・多主体が関わる同プロジェクトの強みが凝縮された光景と言っても過言ではないだろう。夜には焚き火や星空観測などのイベントも楽しめる。

newsweekjp20251126033607.jpg

畑仕事の手を止めて撮影に応じてくれた佐藤昌男さん。都心から移住してきたシェフに畑のノウハウを教える「指導役」を担っているという

味噌が貯蔵されていたというコンクリートの倉庫を改修した薪サウナ「風木水 (FUKISUI)」では、木を贅沢に使用した小屋で汗をかき、川の水を引いた水風呂でそれを流し、自然の緑に囲まれながらの外気浴を堪能することができる。サウナ好きだという視察参加者の一人は、その一つ一つに見入っていた。

newsweekjp20251126033113.jpg

サウナ「風木水 (FUKISUI)」の緑に囲まれた贅沢な外気浴空間。すぐそばを流れる川の音が耳に優しい

「若い人の力が本当に重要」

館内ツアーを終えた一行は、ラウンジで会田さんの事業説明やここまでの活動で得た手応えの話に耳を傾けた(事業の詳細や最新の取り組みはこちら)。

newsweekjp20251126032910.jpg

鳩ノ巣駅で駅舎について説明する会田さん

嬉しい成果として、無人チェックイン駅である鳩ノ巣駅の乗降数が年々増加してきているという。また、ポジティブな変化は数字面だけにとどまらない。

「少子高齢化が進む地域なだけに、地域のおじいちゃんやおばあちゃんが、外から移住してきたSatologueの若いシェフやスタッフが自分たちの町で頑張っていることを本当に喜んでくれています」

地域住民の協力が得られている要因に彼らの存在があると考える会田さんは「地方創生事業では若い人の力が本当に重要だと実感しています」と語り、話を締め括った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

自民がイラン情勢で会議、「調査・研究名目のホルムズ

ワールド

フィリピン、南シナ海全域に対する中国の主権主張を拒

ビジネス

イラン戦争警戒の債券投資家、FOMC前にリスク回避

ビジネス

EBRD、イラン情勢で苦境の加盟国企業向け支援検討
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中