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気候変動

「テクノ楽観論」に惑わされるな...気候変動対策を阻む「大きな勘違い」とは?

Techno-Optimism Can’t Save Us From Climate Change

2025年11月25日(火)13時09分
ハワード・フレンチ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

そうしたテクノ楽観主義は、10月28日にマイクロソフトの共同創業者で慈善活動家のビル・ゲイツが自身のブログに掲載した声明にも見て取れる。

ゲイツは、気候変動対策よりも貧困国の人々の支援と公衆衛生の改善に費やす資金や労力を増やすべきだと訴えた。気候変動問題は未来のテクノロジーによって解決されると考えていて、今は目の前のもっと差し迫った課題を優先すべきだと言いたいのだろう。


リベラル派の大物が発した新しいメッセージに、保守派は盛り上がった。米ヘリテージ財団の気候問題専門家であるダイアナ・ファークトゴットロスは英BBCのインタビューに応じて、気候変動の危機は誇張されているという立場に、ゲイツが賛同したと主張。さらに、化石燃料の使用拡大を訴えた。

ファークトゴットロスいわく、化石燃料の使用拡大は途上国支援の面でも重要な意味を持つという。化石燃料の消費量を減らせば、グローバルサウスの国々が資源で利益を得る機会を奪い、工業化の道を閉ざすことになるというのだ。

加えて、これらの国々が化石燃料で収入を得られれば、欧米などの(主に白人が暮らす)豊かな国への移民流入を減らせるとも述べている。

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