廃プラスチック、どう循環させる?――循環を「当たり前」に。LIXILの地域サーキュラー
「revia」は、廃プラスチックや廃木材といったリサイクルが困難な廃棄物を原料とした素材で、歩道や園路などに使われる循環型素材だ
<リサイクルが進みにくい複合プラスチックを、誰もが選びたくなる建材へ。LIXILの「revia」は、循環を当たり前に近づける挑戦だ>
日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。
私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
世界規模で拡大してきたプラスチックの生産と消費は、利便性の裏側で廃棄物として社会と環境に重い負荷を与えている。
現在、世界で生じるプラスチック廃棄物のうち約7割が十分にリサイクルされず、焼却や埋め立てに回り、気候変動や資源枯渇、海洋汚染の要因となっている。
建設・住宅業界も例外ではなく、資源投入と廃棄の規模が大きいため、循環の仕組みづくりが急務だ。
こうした現実に対し、株式会社LIXILは「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパスのもと、廃棄物をただ処理するのではなく、新たな価値を付与して社会に戻すアップサイクルの発想で取り組みを進めている。
具体的には、ごみと見なされてきた廃プラスチックに、同社が培ってきたデザインと技術を掛け合わせ、人々が「美しい」「欲しい」と感じるプロダクトへと生まれ変わらせるというものだ。
循環は努力目標ではなく、消費者から自然に選ばれる選択肢として根づいてこそ続いていく。LIXILはこの「循環」をどのように事業に組み込んでいるのか。
いらないを、いい素材に変える。循環型素材「revia」

LIXILはトイレ・風呂・キッチンなどの水まわりから、窓・ドア・インテリア・エクステリアまで、住空間を支える幅広い製品を開発・提供するグローバル企業だ。
本社は東京だが、世界150カ国以上で事業を展開し、毎日10億人以上に製品が使われているという。
同社が展開するSDGsへの中核的な取り組みが、循環型素材「revia(レビア)」を軸にした事業だ。2023年1月に発売を開始した「revia」は、ほぼすべての種類の廃プラスチックを再資源化し、廃木材と組み合わせて素材化する。
これを独自の成形技術で仕上げ、舗装材やウッドデッキなど、デザイン性と耐久性を備えた高付加価値の建材へ生まれ変わらせる。
最大の特徴は、再資源化が困難とされてきた複合プラスチックをリサイクル可能にした技術力だ。これにより、従来は焼却や埋め立てに回っていた資源を、建材として社会に再還元する道を拓いた。
事業を進めるうえで「最大の壁は品質管理でした」と、LIXIL Housing Technology revia事業部の栗原竜也氏は振り返る。
発足当初はグループ会社への製造委託から出発したが、事業拡大を見据えて体制を抜本的に見直し、三重県の久居工場で内製化に踏み切った。
これにより、材料選定から成形、仕上げまでの品質を一貫管理できる体制を構築し、供給や開発の柔軟性を高める基盤を築いた。その結果、環境負荷低減と顧客ニーズ適合の両立を強化できたという。





