「もったいない」が「たからもの」に?──三本珈琲の地域密着型「食品ロス削減」戦略とは
一方、麻袋バッグペイント体験では、地元の専門学校や就労支援施設に協力を仰ぎ、豆の輸送に使われた麻袋をトートバッグにリメイク。ここに参加者が絵を描き、一点もののバッグに仕上げることで、ものづくりの楽しさを共有しながら、地域の若者や就労支援対象者の技術向上・雇用機会の創出にもつながっている。
これは、廃棄物の地域内循環という観点でも、理想的なモデルケースだ。

「もったいない」と感じなくなることへの危機感
取り組みを始めたきっかけは、製造機器の豆の選別能力が向上し、これまで以上にロスが発生するようになったことだった。
「現場社員がロスに慣れ、『もったいない』と感じなくなっていたことに危機感を覚えました」と製造部門統括本部サステナビリティ推進室の正木陽子氏は語る。「今では社員の意識も変わり、啓発活動への協力体制も整ってきています」
三本珈琲の活動は、より多くの人に食品ロス問題に向き合ってもらうことを目標としているが、なかでも子どもたちに向けた活動をより一層重視している。
子ども向けのセミナーでは、最後に「SDGs宣言」を行い、子どもたちが「未来に向けた目標やアイデア」を発表する。そこでは、「好き嫌いせずに残さず食べる」といった小さいながらも具体的な目標が共有され、「行動することの大切さが伝わったと実感できます」と正木氏は語る。

プログラムに参加する子どもたちは、これからの地球を担う存在であると同時に、将来、三本珈琲の「ファン」になる可能性も秘めており、事業への貢献も期待できる。また、こうした体験は、社員のエンゲージメント向上にもつながっており、普段の業務とは異なる顧客の反応に直接触れることで、社員自身のモチベーションにも好影響を与えている。
現在は、取引先と連携し、取引先の顧客などを対象に行われることが多い啓発プログラムだが、通常業務以外に資源を割くことに対し、理解を示す連携先は多くはないという。今後はプログラムの拡充と、連携先の拡大が目標だ。
「まずは啓発プログラムについて知ってもらい、地域に連携の輪を広げていくために協力できればと考えています。プログラムを通じて、参加者や連携先に『コーヒーの魅力や可能性』を知ってもらう機会が増えれば、それは事業の安定性にもつながるはずです」(正木氏)
さらに、三本珈琲では2030年までにすべての資源を活用する「廃棄ゼロ」を目標に掲げている。
コーヒーという身近な飲み物を通じて、人と地域、社会をつなぐ取り組みは、食品ロス削減の先にある持続可能な社会への一歩となるだろう。
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