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藻類の力で「貴金属リサイクル率」向上...日本発スタートアップ、ガルデリアの世界戦略

2024年12月18日(水)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

「人間中心主義」を再考させる挑戦

ガルデリアの技術は、都市鉱山だけでなく、金採掘現場の水銀汚染問題にも応用されている。人手による小規模採掘ではいまだに水銀が使用されるケースが多く、深刻な健康被害が世界的に問題視されている。同社は、特許取得済みの、水銀を使わない代替技術を提供することで、労働者の健康を守りながら収入を維持し、環境改善にも貢献しようとしている。

さらに、ガルディエリアの高い栄養価と高い生産性に着目し、食糧危機に対応するための食品開発も進めている。大豆と同等あるいはそれ以上の豊富なタンパク質を含むこの藻類を活用することで、近い将来に訪れるとされる「タンパク質危機」への対策を目指している。

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ガルデリアのビジネスモデル

同社の谷本 肇CEOは、シリコンバレーでの経験を経て、「地球規模の課題解決に通用する事業を立ち上げたい」という志を持つに至った。年齢を重ね子を持つ親となったことや、アル・ゴア元米副大統領との会話を通じて、より良い未来を次世代に残す重要性を強く意識するようになったという。そして微細藻類分野の研究者であり事業家でもある丸 幸弘氏を通じてガルディエリアと出合い、「自分が温めてきた思いを実現できるキーテクノロジーになると確信しました」と語る。

人間の抱える課題を解決するカギを、地球の歴史を見守り続けてきた生命体に委ねるという同社の挑戦は、「人間中心主義」を再考させる象徴的な事例となる可能性を秘めている。

ガルデリアは現在、ケニアとフィリピンで金鉱山における実証実験を進めると同時に、ドイツとフランスの大手企業と都市鉱山事業に関する実証研究を進行中だ。また、マレーシアでは学術機関と協力し、現地の泥炭地から湧き出る水や、廃棄されるニワトリの羽をガルディエリア培養の栄養源として再利用する研究に取り組んでいる。

目には見えないほど微細な藻類が、地球規模の課題を解決する可能性を秘めている。日本発のスタートアップ・ガルデリアは、技術革新を武器に、環境、資源、食糧といった深刻な問題に挑み続けてきた。その挑戦は、既にグローバルな舞台で具体的な成果を上げ始めている。

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