最新記事
SDGsパートナー

書籍の「切れ端」で資源循環の大切さを伝えたい...大日本印刷(DNP)が手がけるアップサイクルアートとは?

2024年11月19日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
大日本印刷(DNP)のアップサイクルアート「ほんの切れ端」

アーティストが一つひとつ手描きで彩色する「ほんの切れ端」

<大量廃棄や自然環境の劣化などが地球規模の問題となるなか、大日本印刷とDNPコミュニケーションデザインは、アップサイクルの取り組みをスタート。書籍の切れ端を使った製品で、資源循環への貢献を目指す>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

資源の有効活用とアーティスト支援を両立させた「ほんの切れ端」

大量生産・大量消費の時代から、持続可能なものづくりの時代へ──。産業革命以降続いてきた社会経済システムの変革を目指して、国連は2015年9月に「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」を採択。世界の国々は、大量生産・大量消費社会によってもたらされた大量廃棄や自然環境の劣化、資源枯渇、気候変動など多くの社会問題の解決に取り組み始めた。

SDGs目標12に掲げられた「つくる責任 つかう責任〜持続可能な生産消費形態の確保」を達成するための手法として、多くの業界から注目されているのが「アップサイクル」だ。

アップサイクルとは、本来は捨てられるはずのものにアイデアやデザインを加え、アップグレードした製品に生まれ変わらせる手法のこと。例えば、経年変化した衣類をトートバッグに作り替えたり、商品製造の際に廃棄される野菜や果物の皮でお菓子を作ったりするのも、アップサイクルにあたる。日本でもさまざまな企業がアップサイクル製品を手がけており、徐々に認知度も注目度も高まりつつある。

そんななか、大日本印刷株式会社(以下、DNP)と株式会社DNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)、アート作品のプロデュースを行うリフレクトアート株式会社がコラボして生まれたのが「ほんの切れ端」だ。それは、書籍を作る際に切り落とされる端材を一点もののアート作品に仕上げたアップサイクルアート。資源を有効活用しつつ、収益金で若手アーティスト支援も両立させている点に大きな特徴がある。

大日本印刷(DNP)で書籍製造時に生まれた切れ端

書籍製造時に生まれた切れ端

「書籍の端材をアートに」と聞いてもイメージしにくいかもしれないが、書籍を作る際はページを重ね、背表紙にあたる部分をのりで固定した後に、仕上がりサイズにあわせて背表紙以外の3辺をカットする。その工程で発生する切れ端に、アーティストが手書きで彩色したのが、「ほんの切れ端」というわけだ。DCD匠デザイン室の四方豊氏は、この製品を作るに至った経緯をこう話す。

「DNP久喜工場で、書籍の製造工程を見学したのが活動を始めるきっかけでした。裁断された切れ端を手にしたところ手触り感がとてもよく、これをアップサイクル製品にできないかと考えました。端材に新しい価値を与えられるのではないか、多くの人にものづくりの過程に触れる楽しさを提供できるのではないかと思ったのです」

その後、匠デザイン室では、切れ端を使ったアップサイクルの可能性を模索。リフレクトアートが扱うアップサイクルアートに出会ったことで、切れ端を一点もののアートに変えるアイデアがひらめいた。結果、DNPとDCD、リフレクトアートの協働という形で「ほんの切れ端」の企画製作が始まったのである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中