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無人駅がフロントで、空き家が客室? 地域全体をホテルに見立てた「沿線まるごとホテル」プロジェクトとは

2023年12月25日(月)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

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「沿線まるごとホテル」プロジェクトの概念図

ホテルは地域住民と協同で運営され、地元住民ガイドによる集落ホッピングや沿線の食材を用いたガストロノミーといったコンテンツも提供予定。旅行者は、集落に住む村人の1人になったかのような気分で、その地域の物語を感じることができる。

また「移動そのもの」が地域を体感できるコンテンツだとする考えの下、モビリティツーリズムも期間限定で実施された。環境にやさしい新型モビリティの電動トゥクトゥクや電動アシスト自転車、電動キックボードで秘境を巡るツアーも好評であった。

2040年には全国30沿線に展開することを目指して

このプロジェクトは第7回ジャパン・ツーリズム・アワード(2023年)で最高賞の「国土交通大臣賞」を受賞。あわせて「学生が選ぶジャパンツーリズムアワード賞」も受賞し、地域コンテンツを魅力的に体験できる取り組みとして高く評価されている。

「イベント等で1 万人が1回来て終わるのではなく、同じ1 万人でも100 人が100 回来訪してもらう沿線集落を目指しています」と、会田氏は語る。2040年には、同じ課題に直面する全国過疎高齢化地区30沿線で同プロジェクトを展開することを目標にしているという。

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JR青梅線青梅駅から奥多摩駅の区間の愛称は「東京アドベンチャーライン」。写真は奥多摩の山間を走る青梅線と集落

コロナ禍で落ち込んだ観光需要がほぼ完全復活した今、有名観光地は旅行者であふれ返っている。これに伴い、オーバーツーリズム(観光公害)が問題視されるようになった。今年10月には、観光庁が「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を発表。観光需要を分散・平準化させるべく、地方部への誘客を推進する意向やそのための対策を示した。

旅行者の志向にも変化が見られ、ローカルな地域でのんびりと旅行を楽しむアンダーツーリズムのスタイルも浸透してきている。こうした旅行トレンドの変化が「沿線まるごとホテル」の追い風となることが予想され、今後さらに話題を集める可能性は十分。青梅線沿線での取り組みは、地域の魅力を再発見しながら経済を活性化させる持続可能な地方創生モデルとして高く評価できる。

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