2月に増えるメンタル不調「二月病」──仕事熱心な上司ほど危ない理由と防ぎ方
自分で部下の成長を止めている
でも、こうした上司の態度に対し、部下たちはどう思うでしょうか。
「部長は自分のやり方以外の仕事をひどく嫌う。下手に自分たちで判断して怒られるより、指示を待っていた方が無駄な労力を使わずにすむ」
結果、部下はどんどん受け身になり、自分では何も判断しなくなります。田中さんのデスクには、「部長、これどうしましょう?」「確認お願いします」と、本来部下が処理すべき案件までが山のように積まれていきます。
田中さんは「部下が全然育たない」「自分が全部見ないと回らない」と嘆きながら、ますます負担を抱え込みます。そして休み明けの1月のロケットスタートで蓄積した疲労と、膨大な業務量、そして「自分が支えなければ」というプレッシャーにより、2月には心身ともに疲弊しきってしまうのです。
みなさんにも田中さんのような経験はありませんか? 良かれと思って先回りしているのに、気づけば自分ばかりが忙しく、部下が育っていないという状況です。
心配性上司が陥る「不安の悪循環」
ここで活用いただきたいのが「認知行動療法」の考え方です。
田中さんのケースを分析すると、「不安の悪循環」に陥っていることがわかります。認知行動療法の研究では、不安というのは、それを取り払おうとして一時的な対処(安全行動)をすると、余計に持続してしまうことがわかっています。
「安全行動(Safety Behavior)」とは、不安や恐怖を感じる状況において、その不安を軽減したり、恐れている最悪の事態を防いだりするために行う行為のことです。田中さんの場合、「仕事がうまくいかないかもしれない」という不安を打ち消すために行っている以下の行動が「安全行動」にあたります。
□ 過度な先回り指示:締め切りのはるか前に完成させることを部下に求める。
□ マイクロマネジメント:部下の行動を逐一監視する。
□ 権限委譲の拒否:何でも自分で全てチェックし、修正する。
これらの行動をとると、田中さんは一時的にホッとします。「よし、これでミスは防げた」「自分が管理しているから大丈夫だ」と安心感を得られるからです。これが、この行動をやめられない理由です。





