ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
「こんなんじゃ歩けないな」と言っていたが...
ケガや病気が快方に向かえば、寝たきりを改善することも、その後に寝たきりを予防することも十分に可能だといえます。しかも、それは、単純に年齢で決まるものでもありません。たとえば、鈴木さん(仮名)という男性は、今年の初め、脳卒中を患いました。
病状が落ち着いてからも体にまひが残り、2月からの3カ月間は歩こうとしても転倒ばかりしていたそうです。
実際、私たちの施設に通い始めた当初は、「こんなんじゃあ、もう俺、歩けないな......」などと、弱音を漏らされることもありました。
しかし、もともとジムで体を動かすことにも慣れており、熱心にトレーニングマシンなどで機能向上訓練を続けた結果、普通に歩くことのできる日がずいぶんと増えたのです。「こんなんじゃあ俺、歩けないな......」と感じていらっしゃったときに、以前と同じように歩けるようになることをあきらめて、機能向上訓練に取り組まず、外出を控えてばかりいたら......。
鈴木さんは、体のバランス感覚を取り戻すことなく、筋力は衰える一方で、今ごろは普通に歩けるどころか、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたかもしれません。
現在の鈴木さんの姿を見れば、普通に歩けるようになるか、寝たきりに近づくかの分かれ道で、彼が最善の判断を下されたのだとわかります。
「老化」と「加齢」は別物
寝たきりになるのは、決して「年だから」ではありません。
そればかりでなく、最近では、「年だからといって、必ずしも老化するとは限らない」ということさえ、明らかになりつつあるのです。
「筋肉量を測定してみたら俺、30代並みの筋肉量だって。もう50代なのに、すごくない?」
などと、自分の測定結果に気をよくした経験はありませんか?
あるいは、周囲の人から、「私、まだ30代なのに、血管年齢を測ってみたら、60代って言われたんだけど。ひどくない?」といった言葉を聞かされた経験がある方もいるかもしれません。
一言でいうと、前者は老化が進んでおらず、後者は老化が進んでいるということになります。つまり、老化は「可逆的」、わかりやすくいうと、一定に進むとは限らず、場合によっては後戻りすることができるもので、その人の努力次第で進んだり、進まなかったりする現象なのです。
「でも、実際に、年はとりますよね?」
確かに、人は生まれてから亡くなるまで、一定の方向に年をとっていきます。年をとること、「加齢」は「非可逆的」で、いくら努力しても、1歳でも年が減ることはありません。つまり、まず、「老化」と「加齢」を別物として考える必要があるのです。
「加齢」は避けられない一方で、「老化」は予防したり、進行を遅らせたりすることが可能です。そして、「老化」することを最後まであきらめなければ、回避できる寝たきりもたくさんあると感じています。