コーヒーが「傷ついたDNA」を修復する可能性...細胞と寿命延長の「スイッチ」とは?【最新研究】
What Coffee Does to Your Cells
AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)は現在、多くの研究者の注目を集めている。2型糖尿病の治療薬として広く処方されているメトホルミンも、このAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を利用した薬で、寿命延長への可能性からも関心が高まっている。
今回明らかになったカフェインとAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)の関係は、日常的にコーヒーを飲む人々が、より強いストレス耐性を持ち、細胞のターンオーバーを行なっている可能性を示唆している。
では、コーヒーは本質的に体に良いということなのだろうか? ラリス博士は本誌に次のように語る。
「古代ギリシャ人の言葉で『pan metron ariston』があります。その意味は『すべてにおいて中庸が重要』です。今回の研究で言えば、コーヒーそのものではなく、カフェインです。コーヒーには何百もの成分が含まれており、同じくカフェインを含むコーラが健康に良いとは到底言えないのと同じです。
確かに、カフェインやコーヒーには多くの臓器や状況において有益な効果があることが示されています。ただし、それは『適量であれば』の話です。過剰摂取には有害な側面もあります。重要なのは、その『ほどよい地点』を見つけることです。その恩恵を得つつ、害を避けるために研究を行なっています」
数年前、別の研究チームもカフェインがTOR(Target of Rapamycin:ラパマイシン標的タンパク質)と呼ばれる成長調節因子に働きかけることで、細胞の寿命を延ばす可能性があることを発見している。
TOR(ラパマイシン標的タンパク質)は、細胞がいつ成長すべきかを、栄養やエネルギーの利用可能量に基づいて伝達する生物学的スイッチのような役割を果たしている。