「慢性的な孤独感」は死亡率を26%高める...ブッダが健康で幸福な人生へ「縁を大切にせよ」と説いた理由
精神が病めば、肉体も病んでいく
「自分らしく生きる」「孤高に生きる」「人に迷惑をかけずに生きる」と聞くと、なんだか潔くてカッコいい印象を受ける。
けれども、人間は「人の間」と書く通り、人と人との関係の上にしか生きることができない。
そのことを知らず、さも自分一人だけで生きられる、生きているように思い上がるならば、人がどんどん離れてゆく、家族さえも離れてゆく。
人はどんなに理性を発達させても、やはり感情の生き物だ。その感情を共有する相手が周囲からいなくなることの切なさは、実際にそのような状況になるまでは決して分からない。
誰かと関わりたいのに、あなたと関わりたい人が誰もいない。
そんな孤独が長引けば、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性がある。精神は肉体と繋がっているため、精神が病めば肉体も病む。
孤独は肥満や喫煙と同じように、私たちの心身の健康を着実に蝕んでゆくのだ。
「慢性的な孤独感」は死亡率を高める
この事実を科学的に突き止めた研究がある。
米ハーバード大学には、1938年から85年以上続いている「成人発達研究」がある。人々の健康と幸福を維持する要因を解き明かすことを目的としており、史上最長規模の研究として知られている。
研究者たちは、富裕層から貧困層、子どもから大人まで、2600人以上の対象者から生活状況や健康データを継続的に集め、約10年ごとに、本人はもちろん、家族にも対面で面接し、幸福度や健康状態などをヒアリングしてきた。
そして、長期的な幸福感や健康に最も大きな影響を与える要因は良質な「人間関係」であると結論付けている。
現在この研究を担う精神科医、ロバート・ウォールディンガー教授は、信頼し、信頼される善き人間関係こそが、健康長寿の秘訣であると語っている。
具体的には、
・親愛なる友人との会話や交流は、ストレスを和らげる。
・困難な時期において、信頼できる友人がいることで安心感を得られる。
・良好な人間関係を持つ人は、心臓病や認知症のリスクが低い。また、心臓病や糖尿病、関節炎などの発症を抑制し、健康で幸福な老後に大きく影響する。
一方、「慢性的な孤独感」は、1年あたりの死亡率を26%高めるという。