「慢性的な孤独感」は死亡率を26%高める...ブッダが健康で幸福な人生へ「縁を大切にせよ」と説いた理由
「ひとり」だからこそ成長する好機
しかしながら、一人で生きることは、時に孤独感を伴ったとしても必ずしも悪いことではない。むしろ、仏教では、孤独時間は自己を見つめ直し、内面的な成長を遂げる貴重時間だと説かれる。静寂の中でこそ、自己を見つめ、真理を見つめることができるからだ。
孤独を恐れるのではなく、それを活用することで心の平穏を得ることができる。
古代インドで記された『マヌ法典』には、バラモン教徒の男子は、学生期・家住期・林住期・遊行期と、人生を四つの段階に分けて生きることが理想的だと説かれている。
学生期は、師匠のもとでヴェーダを学ぶ学生の時期。ヴェーダとは「知識」を意味し、紀元前1000年ごろから紀元前500年ごろにかけてインドで編纂された一連の宗教文章の総称だ。
家住期は、家庭を持ち、子を育て、家長としての自覚をもって一家の祭式を主催する時期。
林住期は、仕事を離れ、家庭を離れ、森林に隠遁して修行する時期。
そして遊行期は、執着を離れ、ひと所に定住することなく、遊行しながら遍歴し、死を迎える時期だ。
「友達に切られた、切った人」は要注意
この四住期を、現代の私たちの人生に応用してみると、学生期、家住期を過ぎて孤独な時間が増えた時こそがチャンス。孤独を憂うのではなく、孤独を活かすのだ。
ふと人生を振り返ってみると、それまで受験勉強や仕事、子育てに忙しくて、自分時間を持てなかった人もいるだろう。それが自分自身の時間を大切にして、本当にやりたいこと、趣味や興味を追求できる。
仕事や家族、その他の人間関係に縛られることなく、自分の望むライフスタイルや価値観に従って、自由に余生を謳歌することができるのだ。
とはいえ、たった一人で生きることには課題もある。
特にその孤独が、自分勝手な振る舞いが過ぎて、他人が離れていってしまった結果である場合。あるいは他人との関わりが煩わしいからという理由で、自ら周囲との関係を断ち切った結果である場合は要注意だ。
長引く孤独によって心身の健康に悪影響を及ぼしたり、後悔や悲観に暮れる末路をたどる可能性もあるからだ。