最新記事
メンタルヘルス

なぜ「地中海食」でうつが改善するのか?...脳細胞とマイクロバイオームの関係

2025年3月30日(日)09時55分
マイケル・モズリー(医師・医療ジャーナリスト)

重いうつ病に長らく苦しんできた被験者もいた。この男性は、研究に参加したことにより、心の病気だけでなく睡眠も劇的に改善されたと語っている。

どの被験者のエピソードも印象的で心温まるものだが、従来の療法では治療が困難なうつ病が改善されたことへの感謝の言葉は、格別に思える。


 

それ以上に励みとなるのは、HELFIMED研究という大規模な介入研究が続き、ジャッカ教授らの研究と同様の結果が報告されている(*3)ことだろう。

「お金がある人ならいいとして、健康な食事を続けるには相当の費用がかかるわけで、食費にかけられるお金が少ない人には使えない方法ではないか」と思うかもしれない。

だが実際には、健康な食事のほうが、不健康な食事よりも費用を抑えることができる。SMILEs試験の研究グループが詳細を分析したところ、指示どおりの食事をした被験者の1人あたりの食費は、1週間につき112オーストラリアドルだった。試験前の平均である138オーストラリアドルを下回っているのだ。

お金をかけずに地中海食を続けるコツは、缶詰や冷凍食品を使うことだ。季節のフルーツや野菜と同じくらいの栄養が含まれている。レンズ豆やインゲン豆、ヒヨコ豆などの食物繊維が豊富な豆類は、安いだけでなく健康的なので、食事に取り入れたいところだ。

ところで、なぜ食事は気分を改善できるのだろうか? 

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中