最新記事
ヘルス

「男の沽券に関わる」直腸診はもういらない? 前立腺癌を調べる「憂鬱な検査」が姿を消しつつあるワケ

One Dying Rite of Passage

2024年10月25日(金)17時07分
ダン・コイス(スレート誌記者、作家)
健康診断での直腸診はもう不要に

ILLUSTRATION BY NATALIE MATTHEWS-RAMOーSLATE

<直腸診といえば中年以降の男性にとって、癌の早期発見のために大切だと理解はしているものの、やはり「嫌なものは嫌」という検査だったが......>

かつてそれは、男の通過儀礼のようなものだった。40代になって年に1度の健康診断を受けに行くと、ゴム手袋をはめるパチッという音が何の前触れもなく聞こえてくる。振り返ると医師が指に潤滑剤を塗っていて、前かがみになるよう指示される。そしてあっという間に後ろの穴に指が突っ込まれる──。

直腸診は長きにわたり、前立腺癌のスクリーニング検査、つまり健康診断などの際に無症状の人に対して行う検査の主流だった。前立腺癌は皮膚癌を除くと男性で最もよく見られる癌で、アメリカでは年に約3万人が命を落とす。


検査の大切さはほとんどの男性が分かっている。父親やおじや友人がこの病気に罹患した人も少なくないだろう。それでも、年に1回会うか会わないかという相手に、そんなところを調べられるのはちょっときつい。

直腸診に関する話は男であれば若いうちから何度も聞かされる。ロッカールームや検査室におけるジョークのネタにもなってきた。映画『フレッチ/殺人方程式』では、健康診断を受けるふりをして情報収集をしようとする主人公に、医師が有無を言わせず直腸診を行う場面がある。

『フレッチ/殺人方程式』のシーン

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザで140人死亡、住民絶望「私たちは忘れ去られよ

ビジネス

ECB利下げでも住宅ローン負担増、30年まで個人消

ビジネス

ユーロ圏の成長低迷は大きな懸念材料=ポルトガル中銀

ワールド

ウクライナ、二重国籍容認へ 戦争で悪化の人口危機緩
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 7
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 8
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中