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疲労の対義語は? 「休養」ではありません...休養学の医学博士が教える「100%回復」するのに必要な要素とは

2024年7月9日(火)11時52分
片野 秀樹 (日本リカバリー協会代表理事、博士(医学))*PRESIDENT Onlineからの転載

【肉体的なものと精神的なもの】

さらにいうと、自分に負荷をかける課題は、できれば肉体的なものと精神的なものの両方があるといいでしょう。

肉体的な負荷なら、最初は軽い運動から始めてみます。ウォーキングをすると決めたら、楽しみながら距離を延ばしていき、ゆくゆくはランニングに移行する、という感じです。


自分でペース配分することが可能なので、負荷としてちょうどいいと思います。

もう一方の精神的な負荷ですが、これは「わざと嫌いな人に会いにいく」とか、「イヤな思いをしにいく」ということではありません。難しい試験にチャレンジしたり、趣味の世界で何かの賞に応募したり、山登りで百名山制覇を目指したり――こうしたあくまでポジティブな負荷を課してみるのが大切です。

【守りの休養から攻めの休養へ】 

巷では1人でキャンプに出掛ける「ソロキャンプ」が流行っているそうです。私もかつて自転車で日本一周をしていたころは、よくキャンプしたものです。

設備のそろったキャンプ場ならいざ知らず、未知の森の奥にテントを張って朝まで過ごすとしたら、その夜は真っ暗な闇の中を1人で過ごすことになります。自分のほかに誰もいない自然を楽しめる人はいいですが、そうでない人は恐怖心に耐えなければなりません。

その意味でソロキャンプは、精神的負荷をかける行為なのではないでしょうか。しかもそれは誰かに命令されたのではなく、自分自身で行くと決めたことです。もしどうしてもイヤだと思えば、途中で帰ってくればいいわけです。見事に、ポジティブな負荷と呼べる条件がそろっています。

こうした休養のとり方を、私は「攻めの休養」と呼びたいと思います。

土日は寝たり、だらだらとしたりして過ごし、月曜日になったらまたなんとなく活動に入るのは「守りの休養」です。攻めの休養は、もっと積極的・主体的に休むというアプローチです。

積極的に休むといういい方は少し変かもしれませんね。でも、大事な休日は、より疲れがとれるように過ごしたり、疲れにくい体づくりをしたりと活力を得ることに使う――。そんなふうに、これまでの日常のサイクルを「攻めの休養サイクル」に変えていっていただきたいのです。

newsweekjp_20240709022527.png片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)
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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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