最新記事
インタビュー

部屋のドアは閉める、「簡単すぎる」でOK...自重トレの「神」が語る「プリズナートレーニング」の真髄

2023年4月4日(火)08時13分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
自重トレーニング

AzmanL-iStock

<多様な選択肢は邪魔、関節を傷めず肉体強化。必要なのは、自分の力とその能力を最大限に発揮するための心と体だけ。ポール・ウェイドに聞く、継続するための秘訣と心得>

日本でも定着した「自重トレーニング」。そのきっかけは2017年に出版された『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』(CCCメディアハウス)だった。それから約6年、その図解版となる『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』が刊行された。ポール・ウェイド氏に「プリズナートレーニング」の魅力を聞く。

◇ ◇ ◇

──「自重トレーニング」という言葉が日本でも定着しました。「プリズナートレーニング」の魅力について、改めてうかがえますか?

ウェイト、マシンなど、特別な器具は一切要らない。必要なのは、自分の力とその能力を最大限に発揮するための心と体だけだ。そういった純然たるいにしえのキャリステニクスが、揺るぎない魅力の核心だと思っている。

──アメリカでは自重トレーニングはいつ頃から人気があったのでしょうか?

本書のメソッドはとても古く歴史は長い。少なくとも2世紀前には存在していた。囚人による筋力トレーニングについては、『レ・ミゼラブル』で知られる、フランス人作家ヴィクトル・ユーゴーも19世紀半ばにはすでに作品の中で言及している。

また、第一次世界大戦中に収容された囚人がこの手法でトレーニングを行っていたという記録もある。私の師匠は、1950年代にサン・クエンティン(刑務所)でこれらの技術を習得した。

自重トレーニングは、現代のフィットネス界で主流となっているウェイト、器具、ステロイドなどという狂気からは完全に切り離され、昔ながらの手法がそのまま保持されている。

20年の監獄生活を終えて私が『プリズナートレーニング』を執筆したのは2008年だった。その時初めてフィットネス界がこのメソッドに着目し、それから爆発的な人気となった。したがって、ここアメリカで有名になったのもごく最近のことだ。

──「プリズナートレーニング」はかなりハードなトレーニングであることは間違いありません。継続するために心がけていることや秘訣、座右の銘などを教えてください。

現代人は選択肢が多すぎる。しかし、囚人にはその選択肢がないからこそ、コンディションを整えることができる。このいにしえのメソッドを本当にものにしたいのであれば、まずは「囚人マインド」を培う必要がある。

そのためにもトレーニング中は部屋のドアを完全に閉め、自分の中に閉じこもってほしい。そして「トレーニング以外に強くなる選択肢はない」と自分に言い聞かせるのだ。明日、いかなる試練が待ち受けているかわからない。これは老若男女問わず、誰でも共通している。トレーニング以外に選択の余地はない!

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中