最新記事

ヘルス

良質な睡眠は8時間ではない!? 20年前から劇的に変化した「快眠」の新常識

2023年3月6日(月)12時10分
角谷リョウ(スリープコーチ) *PRESIDENT Onlineからの転載
睡眠をめぐる時代の変化を示すイラスト

かつて質より量が仕事の成果に直結した時代には睡眠時間を削ることが合理的でしたが…… イラストレーション=髙栁浩太郎(出典=『働くあなたの快眠地図』)


仕事のパフォーマンスを高めるには、どのくらい睡眠を取るのが適切か。スリープコーチの角谷リョウさんは「日本人に多い『寝ないで頑張ることが美徳』という考え方は危険だ。質より量が仕事の成果に直結した時代は、睡眠時間を削ることに合理性があった。しかし今の時代は集中力や想像力、コミュニケーションが重視される」という――。

※本稿は、角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

睡眠を削ることの意味は時代によって変化する理由

よく「時間は有限だからお金より大切」といいます。さらには、「1日はみんな同じ24時間だから、寝る時間を削って活動時間を増やしたほうが得」という発想に至ります。

特別な才能やコネがある場合を除いて、ビジネスパーソンとして周りから認めてもらうためには、どうしても仕事や勉強に時間を多く割かないといけなくなります。

人生は短いですから、仕事以外も楽しんで人生を充実させようと思うと、何も生み出さない睡眠を削ろうと考えがちです。

実は私も役所で働いていた時は全くその発想で生きていて、5時間以上の睡眠を取った記憶がないくらいでした。今から20年以上前になりますが、その時代は「何をすれば成功するのか?」「何を学べば上に行けるのか?」がある程度分かっていた時代です。

良くも悪くも「質より量」の時代だったので、どれだけ知識があるとか、どれだけハードな仕事に耐えられたかが重視されていました。

睡眠は無料で頭の中のゴミを出し、メンタルや体を回復させる

しかし、今では知識はオープンになり、誰にでも手に入るようになりました。ある程度のレベルの仕事はAI(人口知能)やコンピュータがしてくれるのが当たり前の時代です。

そのような状況において最も重要になってくるのが「仕事をしている時の状態(集中や想像がしやすい良好な心身状態)」や「仕事をチームで行う際の良好なコミュニケーション」です。このジャンルは睡眠の最も得意分野となります。

ご存じな方も多いと思いますが、睡眠は無料で頭の中のゴミを出し、記憶を整理し、メンタルや体を回復させてくれます。今の時代のビジネスに最も必要な要素を、睡眠はタダで毎日作り出してくれるのです。

以前は寝ている時間を「無駄」な時間と捉えている人が多かったのですが、海外では「トレーニングの時間」「パワーチャージの時間」と捉えるのが普通になってきています。

何よりもともと人は寝ることに幸せを感じる生き物です。寝ること自体を楽しみ、さらに寝ることでたくさんの効果が得られるので、本当に良い睡眠は取らないと大損なのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中