最新記事

結婚

未婚化と雇用──コロナ禍で求められる雇用の確保

2021年2月4日(木)11時30分
清水 勘(ニッセイ基礎研究所)

未婚化の上昇は、就職を通じた社会参加が困難だった「失われた20年」と重なる Kayoko Hayashi-iStock

<50歳男性の4人にひとりが独身という日本の未婚事情の背景には、不安定な雇用がある。孤独や将来への不安が募るコロナ禍で結婚願望は高まっているが...>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年1月22日付)からの転載です。

人口減少と少子化

日本の国内総人口は、2008年をピークに減少に転じ、2019年10月時点で1億2,616万人に減少した。

国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によれば、2053年には1億人の大台を割り込みその後も減少の一途を辿る見通しだ(図表1)。出生数も減少を続けており、当初、2021年に90万人を割り込むと予想されていた年間出生数が2年前倒しで2019年に割り込むこととなった(図表2)。

Nissei_marriage1_2.jpg

日本の独特な未婚事情

少子化の背景のひとつに未婚化がある。戦前からバブル期まで概ね5%を下回る水準で推移してきた50歳時の未婚割合は、バブルが崩壊した90年代から一貫して上昇を続けている(図表3)。この時期は「失われた20年」と言われる低成長時代で、1990年代後半~2000年代前半の就職氷河期にロストジェネレーション世代が社会に出た時期とも重なる。2015年の男性の未婚割合は23.37%で、今や4人にひとりの50歳男性が未婚となっている。男性ほど比率は高くないものの女性についても同様の傾向が認められ、未婚化の進行は留まるところを知らない。

Nissei_Marriage3.jpg

その未婚化について内閣府が国際比較調査を行っている(図表4)。調査によれば、諸外国と比べ日本では「適当な相手に巡り合わない」「経済的な余裕がない」といった未婚の理由が際立っている1。他方、諸外国の上位の理由をみると「結婚する必要を感じないから」「同棲のままで十分だから」等であり、未婚の理由が日本とかなり異なることがわかる。「就学」→「就職」→「結婚」→「出産」の順でライフイベントをこなすことが一般的な日本では、結婚しなければ出生に繋がりにくい。一方で、事実婚が一般化している一部の外国では未婚のまま婚外子を授かる場合も少なくない。こうして考えると同じ未婚であっても、人口へのインプリケーションという面で日本と外国では事情が異なりそうだ。更に、上述のライフイベントに従えば、就職は結婚の前提となる。雇用が不安定になれば、経済的な余裕が失われ、その結果、結婚や出生に至らないという連鎖が起きることになる。

Nissei_Marriage4.jpg

また、就職は「適当な相手に巡り合わない」という未婚の筆頭理由にも密接に関わっている。ここで、出会いの機会について厚労省が戦前から行ってきた調査がある(図表5)。

Nissei_Marriage5.jpg

------------------
1 外国と比べた場合、日本は「今は仕事(勉強)に打ち込みたいから」、「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」、「今は、趣味や娯楽を楽しみたいから」等、自らの意思で未婚でいるとする理由も高いが、「適当な相手に巡り合わない」「経済的な余裕がない」が上位を占める理由であることに変わりはない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ホルムズ開放巡り約40カ国がオンライン会合、英国主

ビジネス

米2月の貿易赤字、4.9%増加 輸出過去最高も輸入

ビジネス

米新規失業保険申請、9000件減の20.2万件 一

ビジネス

米国株式市場・序盤=急反落、ダウ650ドル安 イラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トラン…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中