最新記事
日本投資

日本投資のヘッジファンド立ち上げ活発化 投資家が市場有望視

2024年9月10日(火)10時59分
東京都内の株価ボードと通行人

9月9日、アジア全体でヘッジファンドの活動が縮小傾向となる中で、日本向けヘッジファンドの新規立ち上げが活発化しつつある。都内の株価ボード前で8月撮影(2024年 ロイター/Willy Kurniawan)

アジア全体でヘッジファンドの活動が縮小傾向となる中で、日本向けヘッジファンドの新規立ち上げが活発化しつつある。

中国株の低迷を背景に、アジアでは昨年以降ヘッジファンドの清算数が設立数を上回り続けている。しかしプレキンのデータからは、日本投資専門のヘッジファンドはこの間に10本の純増となった。

関係者の話では、第3・四半期から年末にかけてさらに5本のこうしたファンドが既に設立されたか、設立が準備されている。投資家の反応も良好で、長らく重視されてこなかった日本市場を有望視する見方が広がっていることがうかがえる。

日本株のロング/ショート型ファンドを立ち上げているシンカ・キャピタル・マネジメントの創設者は「日本がついに物価上昇と賃金の伸びを伴って前向きの方向に変化してきている」と指摘した。

ヘッジファンド調査会社ピボタルパスのジョン・カプリス最高経営責任者(CEO)は「日本専門の運用者へのより大きな関心を目にしている」と述べた。

8月序盤には日銀の追加利上げと米国の低調な経済データを受け、日本株が急落する場面があったが、ヘッジファンドの日本市場に対する意欲には水を差していない。

香港に拠点を置き、7億ドルを運用するアクタスレイパートナーズは、今月中に新たな日本投資戦略ファンドを設立し、年末までに1億ドルを集める目標を打ち出している。

同ファンドは8月の株価急落についても、集中的な円売り持ちが巻き戻されたという面ではむしろ好材料だと受け止めた。

日本の機関投資家の国際投資を支援しているオルタナティブ投資会社MCPグループの最高投資責任者を務める越智哲生氏は、日本の金利がさらに上昇すれば、ゾンビ企業は最終的に存続できなくなり、長期的な戦略としてはプラスになるとの見方を示した。

プレキンによる8月の調査に基づくと、ヘッジファンド全般のリターンが一部指標でベンチマークを下回っていることから、ヘッジファンドに振り向ける資金の比率を減らす世界的な投資家が増えている。

ただウィズ・インテリジェンスによると、日本株のロング/ショート型ファンドは今年第2・四半期までの5年間、相対的に高いリターンを確保してきた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米はテック規制見直し要求、EUは鉄鋼関税引き下げ 

ビジネス

ウォラーFRB理事、12月利下げを支持 1月は「デ

ワールド

トランプ氏、オバマケア補助金の2年間延長を検討=報

ワールド

元FBI長官とNY司法長官起訴、米地裁が無効と判断
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中