スプリングスティーン伝説の宅録『ネブラスカ』と、映画『孤独のハイウェイ』に通底する「なんだ、これ?」感とは
Born to Run but Stumbles Halfway
当時のスプリングスティーンが、ヒット曲に満ちた華々しいアルバムを制作できなかったのは、桁外れの成功が意味するものを恐れていたからだけではない。
『ネブラスカ』が描くような貧しく、絶望した人々の側に自分がいることを、まずはっきりさせなければと感じていたからだ。
スプリングスティーンの自己意識は常に、アメリカという国や時代と絡み合っている。最大の有名曲が「ボーン・イン・ザ・USA」という題なのは、それなりの理由がある。
いずれにしても、ファンは本作を観賞するだろう。優れた演技や数々のささやかで美しい描写を考えれば、見てしかるべきだ。
既に続編の話題も出ているが、つまりスプリングスティーンという存在のフランチャイズビジネス化がさらに進むということか。それは、勘弁してほしいが。
SPRINGSTEEN: DELIVER ME FROM NOWHERE
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
監督/スコット・クーパー
主演/ジェレミー・アレン・ホワイト、ジェレミー・ストロング
日本公開中
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