スプリングスティーン伝説の宅録『ネブラスカ』と、映画『孤独のハイウェイ』に通底する「なんだ、これ?」感とは
Born to Run but Stumbles Halfway
本作はクライマックスがいくつも、中盤にもあるような映画だ。その中には少し退屈なものもある。
アメリカと共に歩む男
ミュージシャンについての映画に、目を奪う演出や一貫した構成が必要だと言うつもりはない。
むしろ、ノートに歌詞を書き付けるスプリングスティーンが、視点を3人称から1人称に変更する瞬間を、極めて劇的な出来事として捉える描写には笑ってしまうより、歓声を上げたくなる(実際にそうだったのだから!)。
だが多くの場合、ゼインズの著書を解説するスライドショーを見ている気がしてくる。
省略も多い。例えば、『ネブラスカ』が内包するレーガン米政権時代の政治的文脈だ。
スプリングスティーンが作曲・録音をしていた81~82年、アメリカは深刻な景気後退に陥っていた。レーガン政権は規制とセーフティーネットをずたずたにし、反ソ姿勢のせいで核戦争の不安も高まっていた。アメリカは現在とあまり変わらない混乱状態だった。
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