今を時めく「韓国エンタメ」、その未来は実は暗い...原因となる「ネットフリックス依存症」とは?
Korea’s Netflix Effect
最初の成功はネットフリックス初のオリジナル韓国ドラマで、独占配信中の『キングダム』だった。その後、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』や『イカゲーム』(いずれも独占配信中)が大ヒットし、韓国作品は同社が国際的に提供するコンテンツの中核になった。今では世界全体で3億人を超える会員の80%以上が、韓国作品を少なくとも1つ視聴している。
【動画】ネットフリックスが初めて韓国ドラマを成功させた『キングダム』(2019年) Netflix
【動画】ドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』予告編(2020年) Netflix
【動画】今年7月に配信開始『イカゲーム』シーズン3 予告編 Netflix
だが、両者の関係は不安定になりつつある。韓国コンテンツ産業の成長加速を後押ししたネットフリックスは今や、既存の制作・配給体制の破壊者になっている。
最も差し迫った懸念の1つが制作費の急上昇だ。ネットフリックスの到来前、韓国作品の主な対象層は国内視聴者だった。日本や中国にも手を広げてはいたが、市場規模が限られるため、制作予算の増加は比較的抑えられていた。
世界中の視聴者を対象とするネットフリックスの参入は、投資の激増をもたらした。韓国での配信開始から5年の間に、同社は韓国のコンテンツに計7億ドルを投資。21年にさらに5億ドル、23年には25億ドルの追加投資を保証した。
資本流入は制作費を大幅に押し上げた。20年前、韓国ドラマの1話当たりの平均制作費はおよそ36万ドルだった。一方、19年に配信した『キングダム』に、ネットフリックスが投じた1話当たり制作費は170万ドルで、20年の『Sweet Home』は同240万ドル。昨年12月に配信した『イカゲーム』シーズン2は同980万ドルに達した。