最新記事
Kカルチャー

今を時めく「韓国エンタメ」、その未来は実は暗い...原因となる「ネットフリックス依存症」とは?

Korea’s Netflix Effect

2025年8月7日(木)16時00分
イ・ソングン(米パシフィック・フォーラム非常勤フェロー)

newsweekjp20250807030120.jpg

ネトフリ初のオリジナル韓国ドラマ『キングダム』 JUHAN NOH/NETFLIX

最初の成功はネットフリックス初のオリジナル韓国ドラマで、独占配信中の『キングダム』だった。その後、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』や『イカゲーム』(いずれも独占配信中)が大ヒットし、韓国作品は同社が国際的に提供するコンテンツの中核になった。今では世界全体で3億人を超える会員の80%以上が、韓国作品を少なくとも1つ視聴している。

【動画】ネットフリックスが初めて韓国ドラマを成功させた『キングダム』(2019年) Netflix

【動画】ドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』予告編(2020年) Netflix

【動画】今年7月に配信開始『イカゲーム』シーズン3 予告編 Netflix

だが、両者の関係は不安定になりつつある。韓国コンテンツ産業の成長加速を後押ししたネットフリックスは今や、既存の制作・配給体制の破壊者になっている。


最も差し迫った懸念の1つが制作費の急上昇だ。ネットフリックスの到来前、韓国作品の主な対象層は国内視聴者だった。日本や中国にも手を広げてはいたが、市場規模が限られるため、制作予算の増加は比較的抑えられていた。

世界中の視聴者を対象とするネットフリックスの参入は、投資の激増をもたらした。韓国での配信開始から5年の間に、同社は韓国のコンテンツに計7億ドルを投資。21年にさらに5億ドル、23年には25億ドルの追加投資を保証した。

資本流入は制作費を大幅に押し上げた。20年前、韓国ドラマの1話当たりの平均制作費はおよそ36万ドルだった。一方、19年に配信した『キングダム』に、ネットフリックスが投じた1話当たり制作費は170万ドルで、20年の『Sweet Home』は同240万ドル。昨年12月に配信した『イカゲーム』シーズン2は同980万ドルに達した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トラ

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権

ワールド

アングル:石炭依存の東南アジア、長期電力購入契約が

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中