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『ミスティック・リバー』原作者による新作スリラー『スモーク』...放火の炎に潜む、人間の「業」を追う

Feeling the Heat

2025年8月1日(金)16時08分
ジャネー・ボールデン(ライター)

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ジョン・レグイザモ(左)やアンナ・クラムスキーら共演者も頼もしい APPLE TV+

『スモーク』には分かりやすいヒーローもステレオタイプの悪役もいない。登場人物は曖昧で倫理的にグレーな世界に生きている。「私たちは時には聖人に出会い、時には悪人に出会う」とルヘインは言う。「でも大抵の人は、自分はどちらなのかと自問自答し続ける。そういう人を私は書いている」

ミシェルは聡明で直感的だが、怒りと幼少期のトラウマがあふれんばかりだ。カリスマ的なデイブは暗い秘密を抱えている。ファストフード店でひっそりと働くフレディ・ファサーノ(ンタレ・グマ・ムバホ・ムワイン)は全身から痛みを発散している。


不穏な存在感を放つフレディは27もの里親家庭を転々としながら、人生の意味やつながり、力を探し続けてきた。

「フレディは地球上で最も孤独な男だとデニスが説明してくれて、そこがきっかけになった」とムワインは語る。「自分の経験から引き出せる部分はなかったから、想像力に頼った──そしてヘアメークのチームが見事に変身させてくれて、ようやく彼に出会えた」

フレディには人を見抜く鋭い洞察力がある。デイブと対峙する緊迫したシーンでも、一瞥しただけで相手の仮面を剝ぎ取る。

「皇帝の服を脱がせるようなものだ」とムワインは言う。「彼には能力があるが、それを生産的な人生につなげることができない。破壊に通じる力だ。全ての登場人物が、手の届かない何かを探し求めている。その状況を改善しようとすればするほど、状況は悪くなる」

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