「アポロ・シアター」91年目の大改修へ...オバマも立った、あの舞台が進化する

Resetting the Stage

2025年7月3日(木)16時55分
ダン・グッディング(本誌記者)

「現状では大音量でやっている。ほかに方法がない」とコーワンは言う。「客席の隅々にまで届くわけじゃない。今回のアップグレードで音が大きく改善される。観客はそのためにアポロに足を運ぶんだろう? 音楽を聴き、ショーを見るために」

客席や照明や舞台機構は全てアップグレードされる。特に舞台機構は、他の劇場ではほとんどが機械化された場面転換がまだ麻縄を使って手動で行われているので、アップグレードが必要だ。


コーワンら改修チームにとっては劇場が存続できるようにするのが「最重要事項」だ。

「125丁目の多くの劇場が失われた。30~40年代の写真を見ると(マンハッタンの)42番街のような劇場が並んでいるが、全て失われた。壮大で古い劇場は全て開発によって失われたか単に老朽化してなくなったかで、私にとってアポロは現存する最後の劇場のようなものだ」とコーワンは本誌に語った。

存続の危機を乗り越えて

歴史的な黒人地区の中心部にある由緒ある芸術施設を拡大・強化する取り組みの一方で、芸術のための資金は危機に瀕している。

ドナルド・トランプ大統領は3月、「アメリカの歴史に真実と正気を取り戻す」と称する大統領令に署名。国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館など20以上の博物館・美術館を運営するスミソニアン協会に「反米的」な展示の排除を命じた。

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