最新記事
文化

黒人初のスーパーヒーロー「ハリエット・ダブマン」を知ってる?...ドラァグクイーンが描く女性戦士の「If物語」

Defining One’s Own Freedom

2025年4月18日(金)16時45分
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)
ドラァグクイーンのボブ(Bob the Drag Queen)

「私たちの自由とは何かを、私たちの言葉で定義したい」と言うボブ ROWAN DALY

<『ル・ポールのドラァグ・レース』の優勝者ボブは、奴隷解放の女性戦士ハリエット・タブマンとヒップホップの世界を結び付けて何を描こうとしたのか──(インタビュー)>

奴隷の娘として生まれ、なんとか逃げ出して自由の身となり、でも同じ境遇の黒人奴隷を救出するために何度も命懸けで南部諸州に潜入した活動家のハリエット・タブマン(Harriet Tubman)が、もしも今のアメリカに復活してヒップホップのコンサートを開いたとしたら?

そんな夢を描いた小説がある。題して『ハリエット・タブマン ライブ・イン・コンサート(Harriet Tubman: Live in Concert: A Novel)』。著者の「ドラァグクイーンのボブ(Bob the Drag Queen)」に言わせれば、タブマンの生涯は「アメリカ史上最高の物語」だ。


タブマンは「アフリカ系アメリカ人文化の素晴らしさを知っていた」と、ボブは言う。「だから、そこから生まれたヒップホップの最前線の舞台に彼女を立たせたかった」

コンサートだから、書籍に加えてオリジナル楽曲入りのオーディオ版もある。「音楽はタブマンの物語の一部。彼女は奴隷救出の活動でも歌を用いた」と、ボブは言う。ちなみに収録曲は自分が今までに書いたなかで「最高」で、「聴けば涙が出る」そうだ。

ボブ自身、ドラァグクイーンのコンテスト『ル・ポールのドラァグ・レース(RuPaul's Drag Race)』で優勝して今日の地位を築いてきた。

そして今は、本書をベースにしたコンサートを準備中だ。そのテーマは「自由。そして自由があなたにとって何を意味するかということ。私たちの自由とは何かを、私たちの言葉で定義したい」。そう語るボブに、本誌H・アラン・スコットが聞いた。

◇ ◇ ◇


──なぜ今、この本を書かねばならなかった?

タブマンは黒人初のスーパーヒーローだ。無力な彼女があれだけのことを成し遂げた。やっぱり黒人女性は強い。自分は誰の所有物でもないという自覚が彼女にはあった。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 「自由

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲う「最強クラス」サイクロン、被害の実態とは?
  • 4
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中