最新記事
MLB

「50-50」を達成しても挑戦を続ける大谷翔平、今季見せた2つの新たな側面とは

SIMPLY THE BEST

2024年10月4日(金)17時28分
スコット・ミラー(MLB専門スポーツジャーナリスト)
「50-50」を達成しても挑戦を続ける大谷翔平、今季見せた2つの新たな側面とは

今季の大谷は多くの記録を達成し、多くの名場面を作り出した(9月19日の7回第5打席で放った50号本塁打) CHRIS ARJOON/GETTY IMAGES

<前人未到の「50-50」を達成しても止まらない向上心で「54-59」に到達。ポストシーズンへと舞台は移り、ドジャースで悲願のワールドシリーズ優勝を実現できるか?>

まだ暑い、9月の日曜日。MLB(米大リーグ)の優勝争いが佳境を迎える10月は刻々と近づいており、ドジャースタジアムは今日も満員の観衆で埋まっていた。

この時期、ロサンゼルスは野球への熱気が高まる。ドジャースは昨年までの11シーズンに10回のナショナルリーグ西地区優勝を果たしたが、その間にワールドシリーズを制したのは1度きり。ファンの期待感は、また不本意な秋が来るのではないかという恐怖と表裏一体だ。


そんななかで迎えたこの日、9月8日のクリーブランド・ガーディアンズ戦で、大谷翔平は彼にしかできないことをやってのけた。大谷が放った46号本塁打は、飛距離450フィート(約137メートル)。ドジャースタジアム史上、最大級だ。

翌日には今季47個目の盗塁を決め、MLBで前人未到の「50-50」(シーズン50本塁打・50盗塁)にまた一歩近づいた。

11日後、大谷はまたも彼にしかできないやり方で壁を破り、彼だけが達成できる記録を築いた。9月19日、マイアミでのマーリンズ戦で、6打数6安打、3本塁打、2盗塁、10打点を記録し、見事に「50-50」を達成。これは野球史で、個人が成し遂げた最も偉大な試合かもしれない。

「史上最高のゲームだ。間違いない」と、ドジャースの二塁手ギャビン・ラックスは絶賛した。三塁手のマックス・マンシーも「こんなのあり得ない」と語った。

遊撃手のミゲル・ロハスは「実はもう泣きそうだった」と打ち明けた。「何だか込み上げてきちゃって。舞台裏の全てを目にしていたから」

全野球選手の頂点を極める

newsweekjp20241003042643-f1343340b7b5ea34e2549d21a2844c7854b1d163.png

「50-50」は、とんでもない高みだ。MLB史上、「40-40」(シーズン40本塁打・40盗塁)を達成した選手は、大谷を含めて6人のみ(上の表参照)。そして大谷以前に「50-50」に迫った選手はいなかった。9月27日時点でその記録を「54-57」まで伸ばしている。

今季の大谷は右肘手術後のリハビリのため、投手としての出場はない。その空いた時間をつぶすために、打者としてやれることを探しているかのようだ。ここまで大谷は、彼をつぶさに見てきた者も目撃したことのない強さとスピードを見せてきた。

「うれしさと安堵と、同時に記録を作ってきた先輩方へのリスペクト。そういう気持ちでいます」。大谷は「50-50」を達成した直後の記者会見でそう語った。「早く決めたいともちろん思っていた。(49号から)1打席目で決められてよかった」


 ❝SHOHEI QUOTE_01❞
今日まず、ここで(発表)して野球に集中しようと思ったのが1番です
(2月29日、自身の結婚についてコメントして)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

9月の米雇用、民間データで停滞示唆 FRBは利下げ

ビジネス

NY外為市場=ドルが対ユーロ・円で上昇、政府閉鎖の

ワールド

ハマスに米ガザ和平案の受け入れ促す、カタール・トル

ワールド

米のウクライナへのトマホーク供与の公算小=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中