最新記事
大谷の真実

「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の言葉を信じたのか? 現地記者たちが語った本音とは

DOES THE MEDIA BELIEVE OHTANI?

2024年4月2日(火)16時00分
小暮聡子(本誌記者)

newsweekjp_20240402034442.jpg

2023年8月、エンゼルス時代にホームランの兜をかぶる水原元通訳 RONALD MARTINEZS/GETTY IMAGES

──スポーツ専門局ESPNやロサンゼルス・タイムズ紙などは、違法賭博の話を少し前から追っていたと報じていたが、水原氏が解雇されたというニュースの前に、そのような話は聞いていたか。

聞いていない。2社以外、多くの記者が驚いていたし、水原さんにギャンブルの形跡も見えなかった。ただ、水原さんは昨季までエンゼルスでプレーしていたデービッド・フレッチャー選手(現ブレーブス傘下マイナー選手)と仲が良く、水原さんが違法賭博で関わったとされるマシュー・ボイヤーとはフレッチャー選手がきっかけで出会ったという話がいくつか出ている。フレッチャー選手はオフシーズンにはポーカーの大会に出ている選手なので、きっかけはその辺だったのだろうと、その話が出る前から想像していた。フレッチャー選手と水原さんが絡んでいるのはよく見かけていたので。

ただ、クラブハウス内で選手たちが遊びとしてポーカーなどのカードゲームをやっているのは何度も見たことがある。ドジャースだけでなく30球団どこでもやっていると思うし、クラブハウス内でのカードゲームを見かけることは、私がこれまで18年取材してきたなかで日常茶飯事。ポーカーをやるときにお金が発生しているかどうかまでは分からないが、記者らと話をするなかでは、ちょっとした賭け事というのはよくある話だよね、とみな口をそろえる。もちろん、やる人とやらない人がいるし、大谷選手は賭けはやっていないと私は信じるが、信じていないという記者も正直、何人かいた。

また、違法ブックメーカーが何百万ドルもの借金を許すはずがない、という声も聞く。もっと前の段階で止められているか、回収させられているか。それだけの巨額を賭けられたのは大谷本人だからじゃないか、という見方をしている人はいた。

──取材対応を含め、水原氏はこれまでどんな役割をしていた?

大谷選手には直接話しかけられないので、何かにつけて水原さんに頼ることはあった。「大谷選手、そろそろ帰りますか?」というようなことも聞いたり。基本的には、大谷選手の隣にいるときに挨拶をするとか、その辺にいる水原さんをつかまえて話しかける。水原さんはたばこを吸うので、よくこっそり廊下を歩いていたりするから(笑)、そのタイミングで話しかけたりしていた。

水原さん自身にインタビューをしたりコメントを取ることもあった。以前、大谷選手に取材依頼をする際に「大谷選手のマネジメントに連絡したほうがいいですか」と水原さんに聞いたところ、「どうせ僕のほうに言われるので僕でいいです」と言われたことがあり、水原さんを通すようにしていたが、結局一度も取材依頼に対する返事はなく、いま考えると、ちゃんと言ってくれてなかったのではないか、と思ったりはする。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

オープンAI、グーグル半導体を使用 初の非エヌビデ

ビジネス

エヌビディア関係者、過去1年に10億ドル超の株式売

ワールド

米税制・歳出法案、上院で前進 数日内に可決も

ワールド

G7、国際最低課税から米企業除外で合意 「報復税」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影してみると...意外な正体に、悲しみと称賛が広がる
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    キャサリン妃の「大人キュート」18選...ファッション…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中