最新記事
映画

米で興収振るわず、ネットで「いよいよ死に時か」...『エクスペンダブルズ ニューブラッド』老優たちの熱演が最高

Twilight of the ’80s Action Gods

2024年1月12日(金)20時35分
ジョディ・ローゼン
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』シルベスター・スタローン

主役のバーニーを演じるスタローン EX4 PRODUCTIONS, INC 2022

<シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサムら往年のスターが顔を並べる人気シリーズ第4作に見るヒーロー映画のたそがれ>

超アクション映画『エクスペンダブルズ』シリーズの第4弾がアメリカで公開されたとき、劇場のロビーには巨大なポスターが貼ってあり、そこには「死に時は死んだ時」と大書されていた。禅問答みたいだが、「消耗品軍団(エクスペンダブルズ)」にふさわしい標語でもあった。

実際、2010年に始まったこのシリーズではバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)率いる筋骨隆々の傭兵集団が、いつ死んでもおかしくない危機を次々と、大したケガも髪が乱れることもなく乗り越えて生き延び、「死に時」を先送りしてきた。

しかも、そうすることで高齢化著しいアクションスターたちに新たな活躍(と殴り合いと過激なスタント)の機会を提供してきた。

オリジナルの『エクスペンダブルズ』には、スタローンに加えてジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、エリック・ロバーツ、さらにはアーノルド・シュワルツェネッガーなどが出演していた。筆者の計算が正しければ、高齢軍団11人の年齢は合計で616歳だった。

正義はアメリカにあり

このシリーズ、そもそものコンセプトは悪くなかった。1980年代にこんなアクション映画が大当たりしたのは事実だし、それを懐かしく思い出すファンも、当時はまだたくさんいた。

だから2010年の第1作と2012年の第2作は、そこそこの興行収入を上げた。評論家には受けなかったが、それでよかった。コミック本にも、ビデオゲームにもなった。

しかし2014年の第3作で失速した。そして第4作の実現には9年もかかった。しかも全米公開(2023年9月)後最初の週末の興行収入はたったの800万ドル。ネット上では、いよいよ「死に時」かという臆測が飛び交ったものだ。

実際、今度の『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(スコット・ウォー監督)は最終作にふさわしい。このシリーズの定石が見事に凝縮されているからだ。

まず、幕開けは北アフリカとおぼしき人里離れた場所にある怪しげな施設の空撮シーン。次の瞬間にはもう、「消耗品軍団」の面々がパラシュートで飛び出していく。今回の任務は、オセロットなる謎の人物率いる武装集団が核弾頭を盗み出すのを阻止すること。ちなみにオセロットは、なぜか第3次大戦を起こして巨万の富を手にしようともくろんでいる。

■『エクスペンダブルズ ニューブラッド』冒頭約10分(ノーカット)を見る

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中