インタビュー:リスクマネー供給強化、関連収益3年で1.5倍に=SMBC日興専務
SMBC日興証券のロゴ。2017年12月に都内で撮影。 REUTERS/Kim Kyung-Hoon
Miho Uranaka
[東京 30日 ロイター] - SMBC日興証券の投資銀行部門でソリューション業務を担当する鈴木達也専務はロイターとのインタビューで、企業のニーズに応じて資金調達の方法を組み合わせて提案するソリューションビジネスに大きな成長余地があるとの見方を示した。関連収益は今後3年で1.5倍程度に拡大する余地があるという。
背景には日本市場特有の資金構造がある。銀行中心の資金調達環境は依然として良好だが、企業の再編や大型投資、資産の入れ替えなどで資本構成や財務リスクの見直しが進む中、長期・高リスクの資産に投資する資金は欧米に比べて十分とは言えない。
鈴木氏は「日本は資金が豊富にあるように見えるが、実際にはリスクマネーが不足している」と指摘。このギャップを埋める手段として、証券化やデリバティブ、プライベートクレジットなどのリスク性資本を組み合わせた資金調達の重要性が高まっている。「顧客の課題に合わせて最適な金融パッケージを設計し、市場や投資家とつなぐことが付加価値になる」と述べた。
SMBC日興が2024年にアレンジした楽天グループによる通信設備を対象としたセール・アンド・リースバック取引が一例だ。豪マッコーリー・アセット・マネジメントが率いるインフラ投資家が、財務基盤の改善を進めていた楽天を下支えする形で、楽天モバイルの通信設備を取得してリースで貸し戻すスキームを通じ、1700億円規模の資金を供給した。
SMBC日興の2025年4ー12月期のソリューションその他分野の純営業収益は512億円と前年同期比27%増加し、投資銀行部門におけるM&Aや資本市場業務に並ぶ収益の柱として存在感を高めつつある。鈴木氏は、グループ全体で顧客基盤はあるが、提供できるプロダクトがまだ限定的という。個別案件の獲得に左右されるため一定の振れはあるものの、「普通にやれば3年後に今の1.5倍ぐらいになる」と語った。
今後日本での拡大が期待されるプライベートクレジット市場については慎重姿勢も示す。欧米で足元広がる流動性や信用リスクへの懸念に鈴木氏は「グローバル金融危機の再来のような形で逆回転し、市場が縮小する可能性は軽視すべきではない」と指摘した。ただ「市場環境が厳しくなっても資金ニーズは残る」として、競争環境が緩和すれば「むしろ仕入れの好機になる可能性もある」と話す。
リスクマネー供給の本格化を進める三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の中島達社長は昨年12月のインタビューで、グループの証券ビジネスの自己資本利益率(ROE)向上にはこうしたソリューション分野の強化が不可欠との認識を示している。SMBC日興は2021年、ゴールドマン・サックス証券でソリューションビジネスに約21年携わってきた鈴木氏を招へいし、同分野の強化を進めてきた。事業が軌道に乗りつつあることから、4月からは投資銀行ソリューション本部の本部長に就く本川連氏に引き継ぐ。
*インタビューは27日に実施しました。
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