最新記事
YouTube

男のニッチな需要をエロスが支える睡眠ストリーム配信

Sleep, It’s a Thing

2023年4月6日(木)12時50分
ジェイク・ホール
ストリーム配信

視聴者のニーズに応えるうちに映像が過激になる傾向はネットコンテンツの王道でもある PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY KAIPONG/ISTOCKーGETTY IMAGES PLUSーSLATE AND INSTA_PHOTOS/ISTOCKーGETTY IMAGES PLUSーSLATE

<「寝ている間も稼げる」夢の仕事? 画面の向こうの寝姿に癒やされる人、興奮する人>

フィンランドの映画監督ユハ・リリャは2004年後半にヘルシンキの映画祭で、アンディ・ウォーホルの『スリープ』(1963年)を初めて鑑賞した。この「映画へのアンチテーゼ」の上映時間は5時間20分。ただひたすら、裸の男性(ウォーホルの当時の恋人で詩人のジョン・ジョルノ)が寝ている姿が流れる。

その9年後、リリャは『スリープ』の50周年に合わせてオマージュを制作した。ウォーホルは30分間のオリジナル映像をスローとループ再生で流し続けた。一方、リリャは彼のカメラで連続撮影できる最長の1時間を8夜にわたり撮影した。粗いモノクロ映像はほとんどがリリャのむき出しの尻だが、風景やバイクの走行シーンも挿入されている。

上映してくれる美術館が見つからず、リリャはYouTubeに投稿した。メインチャンネルに加えて20年からはサブアカウントでも流すと、再生回数が一気に伸びて16万1000回に達した。

「『愛してる』とか『すごくセクシー』とか何百件もコメントが来た」。大半はゲイの「クマ」からで、リリャのようなぽっちゃりした毛むくじゃらの男性に共感して興奮するらしい。

これが動画配信の新しいトレンド、欲情的な睡眠のライブ配信だ。半裸の男性がまどろんでいる動画が世界中で投稿され、勃起の瞬間を求めて目を凝らす熱狂的なファンもいる。

ボクサーパンツ姿でペニスをアピールする人もいれば、投稿サイトの会員制機能を利用して、より露出度の高い下着やTバックの寝姿を有料配信する人もいる。性的コンテンツの投稿が多い会員制SNS「オンリーファンズ」のように月額の視聴料を自分で設定できるプラットフォームもあるが、大多数の配信者はシンプルに、キャプションに支払い先のリンクを追加してチップをもらう。

日常生活をシェアする

奇妙なことに、この手のコンテンツを投稿するのはほとんどが男性だ。今年2月だけで数百人がYouTubeで寝姿をストリーミング配信している。「Male sleep stream(男性睡眠ストリーム)」や「sleep stream」で検索すればすぐに見つかるだろう。

【動画】ボクサーパンツ姿...途中で股間が? 男性の睡眠ストリーム動画

ストリーミング配信の進化の過程で、日常の最もありふれた場面を共有することは、自然の流れでもある。

19年に22歳のマイケル・ゲーリーが、シャワーやセックス、自慰行為も含めて自分の生活を1年間、ノンストップでストリーミング配信した。本人いわく「世界で初めての試み」だった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アルゼンチン予算案、財政均衡に重点 選挙控え社会保

ワールド

タイ新首相、通貨高問題で緊急対応必要と表明

ワールド

米政権、コロンビアやベネズエラを麻薬対策失敗国に指

ワールド

政治の不安定が成長下押し、仏中銀 来年以降の成長予
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中