最新記事

科学

なぜ人は足に萌えるのか? 「足フェチは服従的な性格と関係がある」という仮説

2023年1月17日(火)14時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ハイヒール

grinvalds-iStock

<テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公キャリー・ブラッドショーのヒール好きは知られている。性別を超えて、足フェチが多い理由とは?>

ボストン大学の認知神経科学者、オギ・オーガスとサイ・ガダムは、4億の検索ワーズ、数十万の官能小説、4万のアダルトサイトのデータを調べ上げ、男と女とゲイの「知られざる欲望」を解明。アメリカのアマゾンのコメント欄が大荒れした奇書『性欲の科学──なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか』(CCCメディアハウス)より抜粋する。

◇ ◇ ◇

なぜ手フェチじゃなくて、足フェチなのだろう

喜劇俳優のジャック・ブラックは、こう打ち明ける。

「オレって、ちょっと足フェチなんだよな。気がつくと、だれかの足を見つめている。かかとが好きなんだよね。だれかが木のサンダルなんか履いてたら、興奮しちゃうね。ビーチサンダルとか、革のサンダルもいい。なま足は最高だぜ」

足フェチの男性はけっこう多く、学者たちも足フェチについていろいろな説を唱えている。リヒャルト・フォン・クラフト=エビングは、「感情的な印象と視覚的な印象が結びついたときに、足への性嗜好が生まれる」と主張した。

フロイトは、足フェチは、未成熟で服従的なパーソナリティの表れだと考えた。社会科学者たちは、女性の足の香水の匂いや、おしゃれな靴に惹きつけられて、女性の足に興味を持つようになると推測した。

しかし僕たちは、もうひとつの説として、男性の脳は、もともと女性の足に反応するように作られていると考えている。その考えの最大の根拠となるのが、女性の足のサイズの好みに、文化による差がないことだ。

人類学者のダニエル・フェスラーによれば、さまざまな地域(イラン、ブラジル、タンザニア、パプアニューギニアを含む)の出身の男性が、女性の足は大きいよりも小さいほうが魅力的だと思い、女性たちは、男性の足は平均的なサイズが一番魅力的だと思っているという。

また、「セクシーな足」専門のサイトでは、ほとんど小さな足だけが扱われている。足への性嗜好に文化が影響するなら、大きな足を褒め称える地域やウェブサイトが、ひとつぐらいはあってもいいのではないだろうか。

「シンデレラの童話で、王子が国じゅうを捜しまわったのは、グレービーボート(ソースやカレーを入れる舟形の容器)のような靴に合う足の娘ではない」

こう述べたのはドナルド・サイモンズだが、彼はこのほかにも、男性が先天的に足に惹かれることの裏づけとなりそうな事実をいくつか指摘している。

通常、女性が妊娠しているときは、足のサイズが大きくなる。半サイズ大きくなる人もいれば、ワンサイズ大きくなる人もいる。そして進化論の観点から言えば、妊娠期の女性は、そんなに魅力的である必要はない。その時期には、生殖が不可能だからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始 27

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中