最新記事

アート

『イカゲーム』のイ・ジョンジェにGOT7のジニョン、韓国トップスターが出演するアート

2022年9月3日(土)15時45分
井手ゆい

2人が選んだのは、映画製作のプロと組むことだ。『箪笥』(03年)などを手がけた映画製作会社「春」のオ・ジョンワンをプロデューサーに迎え、撮ったのが『世界の終わり』だ。2つのスクリーンの一方は現在を生きるアーティストの男、一方はポスト・アポカリプスの未来世界に生きる女が映し出される。同年に公開された映画『10人の泥棒たち』の製作が進行していたイ・ジョンジェに、ドラマ『ごめん、愛してる』(04年)などで幅広いファンをもつ女優イム・スジョンという豪華キャスティングだ。

220903ohs_kmm03.jpg

金沢21世紀美術館での『世界の終わり』の展示風景、左がイ・ジョンジェ、右がイム・スジョン

イ・ジョンジェはオ・ジョンワンの紹介で参加するようになったが、とてもアートが好きでコレクターでもあるので制作がスムーズに運んだという。『シネ21』(12年)の記事によれば、イ・ジョンジェは、2人がエリック・フィッシュルのような絵をつくりたいと言えば「いいですね」と答え、レンブラントのようにやってほしい、と言えば「はい」と応じてくれたそうだ。

女の役は、女性性と男性性とが重なるような未来の人類を表現する俳優を探していたところ、ファッションデザイナーで映画のアートディレクションも手がけていたチョン・グホがイム・スジョンを推薦。彼女は商業作品以外にも挑戦したいと考えていたところだった。イム・スジョンは、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホが15年のベネチアビエンナーレに出品した『縮地法と飛行術(The Ways of Folding Space & Flying)』の主演も務めている。

220903ohs_kmm04.jpg

『世界の終わり』(12年)2 チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション 13分35秒 金沢21世紀美術館蔵 © MOON Kyungwon and JEON Joonho

『世界の終わり』は現在と未来が2つのスクリーンでパラレルに進行する。関係は複雑だが、登場人物を誇張することなく表現した2人の演技と、作り込まれたセットや絶妙なライティングによって物語へ引き込ませる。旧世界(現在)の文化を知らない未来世界の女(イム・スジョン)が、男(イ・ジョンジェ)が制作に用いた電飾の光に反応して取った行動は、きわめて純粋に映るだろう。これを撮りながら、芸術の本質は何だろうか?と悩んだというムン・キョンウォンは、小さな電球がキラキラ輝く時が、説明なしに美しさを自覚する瞬間だと考えたと語っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米消費者信用リスク、Z世代中心に悪化 学生ローンが

ビジネス

米財務長官「ブラード氏と良い話し合い」、次期FRB

ワールド

米・カタール、防衛協力強化協定とりまとめ近い ルビ

ビジネス

TikTok巡り19日の首脳会談で最終合意=米財務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中