最新記事

ドラマ

在日コリアンの苦難を描く『パチンコ』を、「反日ドラマ」と切り捨てていいのか

The People Endured

2022年5月19日(木)18時04分
アリシア・ハディック

220524p52_PCK_04.jpg

エリート街道を外れたソロモンはアイデンティティーを見つめ直す APPLE TV+

ドラマで際立つのは反骨精神

もっとも『パチンコ』は、単に植民地時代の苦難を描いて同情を求めるだけのドラマではない。

同情を求めるどころか、むしろ際立つのは反骨精神だ。登場人物たちが80年代のパチンコ店で踊る姿と古い写真や映像が交互に映し出されるオープニングからして挑戦的で、逆境の中でアイデンティティーを主張する心意気を感じさせる。

エール大学在学中に在日の歴史を知り小説を着想したという原作者のリーはかつて、韓国・朝鮮人に向けられる反感は日本でもアメリカでも同じだと語った。登場人物はどこかにもっと住みやすい場所があるはずだと夢見るのではなく、在日という特異なアイデンティティーを堅持する。

ソロモンはアメリカでの生活に区切りをつけて日本に帰る。老いて孤独なソンジャはグムジャとの交流に触発されて祖国の土を踏んだ後、日本にとどまることを選ぶ。

前述のニューズウィーク日本版の渡辺のコラムに、リーは次の言葉を寄せた。「現代の日本人に、日本の過去についての責任はない。私たちにできるのは過去を知り、現在を誠実に生きることだけだ」

結局のところ、差別の連鎖を断ち切るために私たちにできるのは、耳を傾け過去を知ることだけ。その長い旅路において、過去を知ることは欠かせない一歩だ。

©2022 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米移民当局発砲問題でミネソタ州が連邦政府に猛反発、

ワールド

トランプ氏、中国が台湾で何をするかは習主席「次第」

ビジネス

パラマウント、ワーナーに自社提案がネトフリ案より「

ビジネス

11月実質消費支出は前年比+2.9%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中