最新記事

アート

クレディ・スイス、中国人アーティスト艾未未の口座を閉鎖 原因は過去の拘束歴かスイス国民批判か

2021年9月8日(水)10時24分
中国の現代芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)

中国政府に批判的な活動で知られる同国の現代芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏は9月7日、スイスの金融大手クレディ・スイスが今年、自身の中国での「犯罪歴」に触れた上で自身が運営する財団のスイスにある銀行口座を閉鎖すると伝えてきたことを明らかにした。同氏は有罪判決を受けたことはないとしている。3月、ポルトガルで撮影(2021年 ロイター/Pedro Nunes)

中国政府に批判的な活動で知られる同国の現代芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏は、スイスの金融大手クレディ・スイスが今年、自身の中国での「犯罪歴」に触れた上で自身が運営する財団のスイスにある銀行口座を閉鎖すると伝えてきたことを明らかにした。同氏は有罪判決を受けたことはないとしている。

現在はポルトガルに居住する艾氏はウェブサイト「Artnet」への意見記事の中で、クレディ・スイスから最初に口座閉鎖を伝えられたのは今年の春だと説明。ロイターへの電子メールで「クレディ・スイスは当初、犯罪歴がある人々に関連した全ての銀行口座を終了する新しい規約があると伝えてきた」とし、財団は当時、9月までに資金を移すよう求められたと付け加えた。

この財団は表現の自由と芸術のために艾氏が2016年に開設した。

艾氏は2008年北京五輪の主会場となった北京国家体育場(鳥の巣)の設計を支援。その後、中国政府と衝突し、2011年に81日間拘束された経緯がある。同氏は、自身は犯罪で正式に起訴されたり、有罪判決を受けたりしたことはないとしている。

艾氏によると、クレディ・スイスは6月24日、同氏への電話で「できるだけ早期に」口座を閉鎖したいと伝えてきた。その際、マネジャーは同氏が数日前に受けたスイス紙とのインタビューに言及し、この中で同氏が「反移民政策」強化に賛成したスイス国民を批判したことを閉鎖の理由に挙げたという。

クレディ・スイスは「将来可能性のあるもしくは現在進行中の顧客との関係」については説明しないとして、艾氏の主張へのコメントを避けた。

艾氏はロイターに対し、口座は現在、閉鎖手続き中となっており、非常に限られたやり方でのみ利用可能となっているが、資金の移管は依然として必要だと説明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:現実路線に転じる英右派「リフォームUK」

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中