デーブ・スペクター「日本がオリンピックを美化するのはテレビのせい」

2020年3月28日(土)20時00分
小暮聡子(本誌記者)

――オリンピックが神聖化されていているため、何も言えない雰囲気になる、と。

そう。だからスポーツではない。プロ野球なら、負けてもがんばりましたね、とは誰も言わずに、バカヤロウと言える。競馬だって、馬券買って負けたときに「でもよくがんばりました」と言う人はいないだろう。みんな怒る。馬刺し食ってやる、となる。

これは持論だが、僕は「選手」という肩書は良くないと思っている。選手ってつけると、なんだか「先生」みたいに、敬意が含まれる。

アスリートは自分たちの好きなことをやっているだけなのに、10代でもなんでも選手とつける。スポーツというのは本来、選手の名前を呼び捨てにできるものだ。

――アメリカには「選手」という肩書はない。

ない。アイドルグループの誰かが捕まれば「メンバー」、みのもんたは「司会者」とか、ヘアサロンの店長を「先生」とか(笑)。日本はいつも肩書がつく。

スポーツは結果がすべてなので、リスペクトするかどうかはパフォーマンス次第で、見ている側が決めればいい。選手という肩書は、名詞として使うのはいいが、名前のあとにつけるのはおかしいと思う。

アメリカの唯一いいところは、オリンピックはNBCしか放送しないので、他局では何を言ってもいいし、取り上げなくてもいい。映像も使えないので、むしろ無視することが多い。終わってからは選手がNBCの人気番組に出て、そのあとに他の局の番組にも出始める。

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