最新記事

インタビュー

日本の写真は「自撮り、食べ物、可愛いペットが多い」

2018年3月9日(金)14時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Photo by @johnny777

<そんな日本の「日常」を伝えるドキュメンタリー・アーカイブのプロジェクトが始まった。Everyday Japanクロニクルだ>

誰が撮ったか、有名か無名かはもはや関係ない。どんなカメラで撮ったかも然り。そもそもスマートフォンしか使っていない人も多い。

スマートフォンとSNS――とりわけインスタグラム――の登場以来、写真の力が増しているように思える。距離も時間も超え、写真がメッセージを伝え、共感を呼ぶ。インスタグラムに投稿された、遠い異国で見知らぬ誰かが撮った写真に、私たちは「いいね!」を押す。

そんな時代に生まれたのが、Everyday Africaというムーブメントだった。2012年、共にジャーナリストであり、西アフリカで米政府系ボランティア団体「平和部隊」に参加もしていたピーター・ディカンポとオースティン・メリルが作った1つのインスタグラム・アカウントから、このムーブメントは始まった。

アフリカの「普通の人々の生活」はどういうものかを伝えるEveryday Africaには、これまでにアフリカの写真家たちから4300点以上の写真が投稿され、フォロワーは現在37万人を超えている。昨年、写真集にもなった。

Everyday Africaはこれまでに、同じコンセプトのプロジェクトを他にいくつも誘発している。Everyday Middle EastEveryday AsiaEveryday IranEveryday USAEveryday DPRK(北朝鮮)......。

そして昨年11月、視覚的にストーリーを伝えるプラットフォームであるChronicle(クロニクル)が、世界報道写真賞など多数の国際的な受賞歴がある写真家/ジャーナリストのQ.サカマキと組んで"Everyday Japan" Chronicleを立ち上げた。

Everyday Japanクロニクルとは何か。プロジェクトの中心人物であり、当ウェブサイトで連載を持つサカマキに、メールでインタビューを行った。

everydayjapan-7.jpg

Photo by @mithilajariwala

――そもそもEveryday Africaに始まるEverydayプロジェクトの特徴とは。

インスタグラムのEveryday Africaから始まったEverydayプロジェクトは、日常を通してステレオタイプでない人々の生活と物語を伝えていくもの。各国の「観光局推薦」的でない写真を中心にしたドキュメントだ。

各Everydayプロジェクトはそれぞれ緩やかに、そうした基準で繋がっている。ただし、それぞれが独自の路線でやってももちろん構わない。

――Everyday Japanについてはどうか。

インスタグラムのEveryday Japan は2015年8月に始まった。日本の日常、ときに観光的な写真も含むが、できるだけステレオタイプでないもの、あるいはニュース的な写真も含み、基本的にセットアップされた(設定が作られた)ものではないドキュメンタリーの物語を伝達するプロジェクトだ。

一方、2017年11月から始まったクロニクルのEveryday Japanは、そうしたものに加えて、その名の通り時系列を非常に重視しており、その点がインスタグラムにある他のEveryday プロジェクトと大きく異なっている。

言ってみれば、時系列を重視した日本の日常――ごく普通の日常から、ステレオタイプでないもの、あるいはニュース的なものまでを含む――のドキュメンタリー・アーカイブだ。

everydayjapan-2.jpg

Photo by @qsakamaki

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 2
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    ただのニキビと「見分けるポイント」が...顔に「皮膚…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中