最新記事

エンターテインメント

今年のエミー賞は、元大統領報道官の自虐ネタに賛否両論!

2017年9月22日(金)19時11分
ニューズウィーク日本版編集部

ショーン・スパイサー元大統領報道官(エミー賞授賞式会場にて、9月17日) Mike Blake- REUTERS

<米テレビ界の祭典、エミー賞授賞式が行われた。今年人気を博したのは、意外にも「トランプ政権の顔」だったあの人物>

日本と違い、映画やテレビ界のスターたちが社会問題や政治問題についてがんがん発言をするのがアメリカ。ドナルド・トランプ大統領の就任以降は、特にそれが顕著になった。

9月17日に行われたテレビ界の祭典、エミー賞授賞式も例外ではない。司会者スティーブン・コルベアは冒頭の語りでさっそくトランプをネタにし、彼が自分のリアリティー番組の視聴率を気にしていたことに言及。そして「この番組の観客数は現時点では分かりませんが......。誰か分かる人は? ショーン、分かりますか?」と呼び掛けた。

そこに登場したのが、ショーン・スパイサー元大統領報道官だ。「エミー賞において、最大の観客数になるだろう。以上。会場でも、世界中でも」と、自虐ネタで会場を沸かせた。これはもちろん、1月の大統領就任式の観客数について彼が述べた(そして「嘘だ」と大いに非難された)言葉のパロディーだ。

授賞式後のパーティーでもスパイサーは大人気で、多くのセレブが一緒に写真撮影をするなど和やかな雰囲気。人気トーク番組の司会を務める俳優ジェームズ・コーデンは、頬にキスまでしてみせた。

ただし、スパイサーの名誉挽回に手を貸すような歓待ムードには、ジャーナリストらを中心に批判が噴出。7月下旬に辞任するまでスパイサーは「トランプ政権の顔」として、トランプの問題含みの政策や言動を擁護し、メディアとの対立を繰り返してきた人物だからだ。

「スパイサーを認めたエミー賞は恥知らず。彼は私たちの作品の品位を落とし、報道の自由を制限するのに力を注いできた」とツイートしたのは、キャスターで作家のキース・オルバーマン。俳優ザック・ブラフは「彼は私たちの国に害を与えた、邪悪な日和見主義の嘘つきだ」となじった。

トランプたたきは、受賞結果にも表れていた。

アレック・ボールドウィン扮するトランプと、メリッサ・マッカーシー扮するスパイサーなど時事ネタが大受けしたお笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」は、バラエティー・スケッチ部門作品賞など9部門の最多受賞。ボールドウィンは助演男優賞の受賞スピーチで、過去にノミネートされながら受賞できなかったトランプを皮肉り、「大統領、あなたのエミーですよ」ととどめを刺した。

トランプ政権が続くかぎり、お笑い番組や風刺番組はネタに困ることはなさそうだ。日本でも誰か、「ガースー」の物マネをしてくれないだろうか......。

(SNLでトランプに扮したボールドウィン) (こちらはマッカーシー扮するスパイサー)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、一部銀行の債券投資調査 利益やリスクに

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 修繕住宅

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中