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日本人ムスリムの姿から、大切な「当たり前」を再確認する

2015年7月24日(金)19時38分
印南敦史(書評家、ライター)

 だとすればなおさら、イスラム教徒と非イスラム教徒が、誤解のない状態を共有することは不可能に近い。でも、果たしてそこまで理解しなければならないのだろうか? 本書を読んでそう感じた。

 日本人のなかにだってイスラム教徒も、仏教徒も、キリスト教徒もいる。そもそも大半は無宗教だ。そして冒頭で触れたとおり、異端に見えるイスラム教徒も、意外に普通だったりする。日本人同士だって相容れない相手はいるし、イスラム教徒だってそれは同じ。


ニュースには現れないイスラム教徒も存在する(中略)。私たちと同じように、「普通に」日本で生活している彼らの声は、私たちの耳にはほとんど届かない。(34ページより)


 つまり、当たり前だが、お互いに普通の人間なのだ。だから、理解できたりできなかったりするのだ。そんな当たり前すぎることを、本書は再確認させてくれるのである。



『日本の中でイスラム教を信じる』
 佐藤兼永 著
 文芸春秋

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