最新記事

株の基礎知識

一流の投資家は「いつ」株を買っているか アノマリーを検証する

2021年11月8日(月)10時45分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

■10月恐怖症

10月はしばしばウォール街に悪夢を呼び起こすので、「10月恐怖症」という言葉が使われるほどです。1929年の大恐慌や1987年のブラックマンデーによる株価の暴落は、いずれも10月に起こりました。

10月は「ベアキラー」とも呼ばれ、しばしば弱気相場に終止符を打つ相場転換の月となるので、現在では1年のうちで株を買うのにふさわしい月のひとつといえます。

■11月から始まる

11月~1月は最も良い3か月です。株価が上昇する可能性が高いだけでなく、上昇自体も他の月に比べて圧倒的に大きくなる傾向があります。

感謝祭から年末にかけての休暇シーズンが始まる11月は、1年で最高の数か月の到来を告げます。ダウ平均株価とS&P500では「最高の6か月」が、ナスダックでは「最高の8か月」が始まります。また11月には、機関投資家の第4四半期の資金が市場に入ってきます。

■12月のサンタクロース

相場が12月に急落することはめったにありませんが、そうなるときには、たいてい相場の転換点であり、天井か底に近いということです。一方、下げに苦しんだ後に12月も急落するようなら、間もなく上昇が始まると思ってよいでしょう。

月の前半は、節税目的の売りと年末のポートフォリオの見直しが最高潮に達するので、相場は弱くなる傾向にあります。

市場がクリスマス休暇に入る直前かその直後に始まって、その年の最後の5日間と新年の2日間に、短いですが大きな上昇があり、これは「サンタクロースラリー」と呼ばれています。サンタクロースラリーが訪れなければ、金融市場に弱気相場が訪れるという警告になります。

■1月バロメーター

毎年、年初になると必ずこの話題が出ますが、「1月最初の5日間」によって、その年の市場環境を占うことができます。1月最初の5日間が上昇した年は好調な一年になることが多いようです。

年間の相場は1月の動きに似るという「1月バロメーター」は、これまで大きく外すことはほとんどありません。1月に下落すると、経済か政治か軍事面で、その後に問題が起きるという前兆になるということです。

1月に予測力があるのは、この月に起きる重要なイベントが多いからです。議会が新たに招集され、大統領が一般教書演説をして年間予算を提示し、国家目標と優先事項を決めます。また1月は資金が流入し、ポートフォリオが見直され、新たな投資戦略が策定されます。

(参考記事)株で儲けている人の常識 「一流の投資家」はどんな企業を選んでいるか

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中