最新記事

株の基礎知識

株価が「10倍」になる株に出合う、たったひとつの方法

2021年10月15日(金)06時30分
岡田禎子 ※かぶまどより転載

トヨタ自動車の時価総額は約33兆円(2021年9月13日時点)。2位以下を大きく引き離して、「日本でいちばん大きい企業」の地位を確固たるものにしています。

それに対して、アップルの時価総額は約2.5兆ドル(同9月10日時点)。日本円に換算すると、約275兆円です。

●トヨタ自動車......約32兆円
●アップル............約275兆円(約2.5兆ドル)

こうして時価総額で比較してみれば一目瞭然。「アップルのほうが圧倒的に大きい」ことがすぐにわかります。

■同業他社との比較も簡単できる

また、時価総額という物差しを用いることで、同じ業界内の比較も簡単にできます。

例えば商社株。2020年6月には、常に業界トップだった三菱商事<8058>の時価総額を、ついに伊藤忠商事<8001>が抜いて首位に躍り出たことがメディアで大きく取り上げられました。

これは、商社の主な収益源である資源価格が下落する中、生活関連ビジネスに強いとされる伊藤忠商事に対する投資家の評価が、他社と比べて高くなったからです。それによって株価が伸び、それをもとに算出される時価総額も増したのです。

このように、同業種内でなぜ時価総額の差が出たのかを考えることで、企業や業界への理解をより深めることもできるようになります。

なお、時価総額のデータは、ヤフーファイナンスなどの情報サイトでリアルタイムの株価変動にあわせて更新されていますので、いちいち計算する必要はありませんよ。

(参照)時価総額上位:株式ランキング - Yahoo!ファイナンス

時価総額でテンバガーを見つける

時価総額を用いることで企業を比較できることはわかりました。では、どうすれば冒頭のベテラン投資家のように「テンバガー」を見つけられるのでしょうか? 10倍とまではいかなくても、株価が2倍3倍と成長する株を見つけるには、時価総額をどう使えばいいのでしょうか?

それを考えるには、時価総額というものについて、もう少し深掘り必要があります(以下、時価総額はすべて2021年9月13日現在)。

■テンバガーになりやすいのはどんな株か

例えば、時価総額1兆円のA社と時価総額100億円のB社があるとします。どちらの株が10倍になりやすいと思いますか?

●A社=時価総額1兆円
●B社=時価総額100億円

これらの企業がテンバガー(10倍株)になるということは、A社であれば、1兆円の10倍で時価総額が10兆円になることを意味します。

時価総額が1兆円の企業とは、日本航空<9201>や三菱重工業<7011>の規模に相当します。そんな大会社が、これからさらに売上や利益を大きく伸ばして10倍もの成長を遂げるのは、かなりハードルが高いことがわかるはずです。

ちなみに、現在の日本で時価総額が10兆円を超えているのは、わずか6社しかありません。すでに登場したトヨタ自動車とソニーグループのほかには、キーエンス<6861>、NTTこと日本電信電話<9432>、ソフトバンクグループ<9984>、そして、リクルートホールディングス<6098>です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

マクロン氏、プーチン氏のイスラエル・イラン危機仲介

ワールド

原油先物続伸し3%超上昇、イラン・イスラエルの攻撃

ビジネス

ECB、2%のインフレ目標は達成可能─ラガルド総裁

ワールド

トランプ氏、イラン・イスラエル和平を楽観視 プーチ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中